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大水青の燃ゆる夜札内川キャンプ

札内川園地キャンプ場(6月25日〜26日)

川下りを終えて 今週末は土曜日に札内川を下って、そのまま札内川園地キャンプ場に泊まる予定である。
 メンバーは、昔のniftyのキャンプ関連フォーラムで知り合った人達で、数年前にほぼ同じメンバーで千歳川を下ったりしていた。
 札内川園地は、十勝のキャンプ場の中でも以前から一度泊まりたいと考えていたキャンプ場で、札内川も一度は下りたいと思っていた憧れの川である。
 今回のオフ会は、私にとってはまさに一石二鳥の企画だったので喜んで参加させてもらうことにした。
 川下りスタート地点の集合時間11時に間に合うように札幌の自宅を朝7時に出発して、川下りを終えたのが午後3時頃である。 他のメンバーは既に前夜にキャンプ場入りしていたので、川下り終了後はそのまま温泉に向かった。我が家はテントを張ったりしなければならないので、そのままキャンプ場へ行くことにする。
 川を下っている間はまずまずの天気だったのに、山の方角の雲行きは何となく怪しい。
 今年のカヌークラブでの例会キャンプは3回の内2回が雨に降られ、その2回に参加していた私が雨男ではないのかと疑いの目を向けられていた。
  そんなことないよと笑い飛ばしていたが、今回も雨が降りそうな予報が出ていたし、さすがに3回続くと自分でも自分に対して疑いの目を向けるようになってしまう。
 案の定、走り始めてまもなくフロントガラスにポツポツと雨粒が当たり始めた。そしてキャンプ場に近づいていくほど、まるで雨男がやってくるのを歓迎するかのように雨足が強くなってきた。
 今回のキャンプでは、一つだけ気に入らないことがあった。
 それは、我が家以外に4組のご夫婦がキャンプに参加しているが、全てキャンピングカーやトレーラーのオーナーだと言うことである。
 今回とほぼ同じメンバーで山部自然公園太陽の里でキャンプをしたことがあったが、その時は皆の装備の豪華さにカルチャーショックを受けたものである。
 もうそんなことにも慣れてきたので、別に我が家だけがテントでも大して気にはならない。しかし、今日のような雨降りの日は話が違ってくる。雨が降ろうが雪が降ろうがビクともしないキャンピングカーと違って、撥水性もほとんど失われてしまった我が家のテント、しかも雨の中の設営と来たら、その差を痛感させられてしまうのだ。
我が家のサイト 雨に煙る札内川園地キャンプ場に到着。
 そんな雨にも係わらず、川に近い林間部分には既に結構な数のテントが張られていた。我が家だけなら無理してでも川が見える場所にテントを張っていただろうが、今回は団体キャンプなのでサイト選びで迷うこともない。
 私たちグループのサイトは直ぐに分かった。お決まりのビッグタープの周りを、ぐるりとトレーラーやキャンピングカーで囲んでいる。いつもの我が家なら、そんな様子を見ただけで恐れをなしてそこから一番離れた場所にテントを張るところだが、今回はそこがテントサイトだ。
 留守番をしていたCさんの奥さんの話だと、昼頃から既に雨が降り始めていたとのことである。
 雨具に着替えて、キャンピングカーの群れから少し離れた場所に早速テントを設営した。
 我が家のテントの場合、先にアウターテントを張ることができるので、雨の中の設営でもそれほど苦労することはない。これが、先にインナーを張ってそのうえにフライシート(アウターテント)を被せるタイプでは、寝室部分が雨に濡れてしまうので大変だろう。
 それでも、張り終えた後のテントの出入りは、やっぱり大変である。ポールを立てて張り出しを作っても、そこに溜まる雨水を上手く流せないので、溜まってくる都度手で押し上げて水を落とさなければならない。
 上にタープを張れば良いのだが、最近は全てにおいて手抜きのくせが付いてしまい、そこまで手間をかける気もしなくなってしまった。
宴会風景 そのうちに他のメンバーも温泉から帰ってくる。
 ビッグタープの下に5家族が勢揃い、5家族と言っても皆夫婦だけの参加なので5夫婦の表現の方が正しいかもしれない。
 最近は本当に、子供達がキャーキャー言いながら走り回るようなファミリーキャンプからは縁遠くなってしまった。
 Oさんが生ビールを用意してくれて、おまけにビールジョッキまであるので完全に居酒屋気分である。タープの下にはご丁寧に赤提灯までぶら下がっている。

 最近は、グループキャンプの時はなるべくフウマを連れてこないようにしている。何せ卑しい犬なのである。
 フウマにとって餌をくれる人間、いや、食べ物を食べている人間は、飼い主よりも気になる存在なのだ。
 何か食べているときにフウマにじっと見つめられると、その訴えるような視線に耐えられる人間はほとんどいないと言っても良いだろう。
卑しいフウマ 見つめるだけならばまだ許せるが、最近はその人が何もくれないとなると「オラッ、さっさと何か喰わせろ!」とでも言うように、吠えはじめるのである。
 犬とはそんなものだろうと半ば諦めていたのだが、今回のキャンプにはフウマの他に、コーギーとチワワの2匹の犬が参加していた。
 正しく躾けられた犬は、人間が何か食べていようと、じっと大人しくしているものらしい。
 チワワは飼い主の腕に抱かれて、コーギーは飼い主の横のイスに座って、そんなフウマの様子を呆れたような表情で眺めていた。
 グループキャンプの時は、もう絶対にフウマは連れてこないようにしよう。飼い主の私は、最後には何時もそう思うのである。

 雨は相変わらず降り続いているものの、風もなく気温もそれほど下がらずタープの下では快適に過ごすことができる。
 雨のおかげで虫の数も少ないようだ。
 しかし、タープの下で五つのランタンを煌々と灯しているものだから、キャンプ場の中でもこの付近だけが一際明るくなっている。
 その明かり目指して、少しくらいの雨なら関係ないとばかりに、大型の蛾が時々タープの下に飛び込んできた。ランタンの間を狂ったように飛び回り、最後はランタンか焚き火の中に飛び込んで自ら最期を迎えるのである。
 普通の蛾ならまだ良いが、たまにオオミズアオという巨大な蛾まで飛んできて、そうするとテントの下はちょっとしたパニックになってしまう。
 黙って何処かに留まっていてくれれば、それなりに美しい蛾なのだが、青白い巨大な羽をバタバタさせながら飛び回り、たまに人間に向かって体当たりしてくるものだから始末が悪い。
ランタンや焚き火に衝突して少し弱ってきた頃を見計らって火ばさみで挟んで、そのまま焚き火の中へ。ジュッという音をたて、一瞬炎が大きくなったかと思うと、その後にタンパク質の焦げる臭いが辺りに漂う。
 可哀想にと思いながらも、この夜10匹近いオオミズアオが焚き火の中でご臨終となっただろうか。
 儚い命を弔いつつ、楽しい宴は夜遅くまで続いた。

 雨は一晩中降り続いたが、水はけの良い場所なので下から浸水することもなく無事に朝を迎えられた。
 浸水や雨漏りさえなければ、寝る分にはキャンピングカーもテントも大して違いはない。かえってテントの方が雨音が優しく感じられ、良い子守歌代わりにもなってくれる。
 テントの中も明るくなってきたので、雨音が止めば直ぐにも起きようと思っていたが、雨音は小さくなったもののしつこく続いている。雨の日に早起きしてもしょうがないと、再びシュラフの中に顔を埋めた。
  しかし間もなく、タープの方から薪を割るような音が聞こえてきた。
 年寄りが多いというか、まあ皆私とほとんど同じような年代なものだから、朝になると直ぐに目が覚めてしまうタイプの人間が多いみたいだ。
 諦めて我が家も起きることにする。
雨に濡れた山の樹木 雨はほとんど止んでいたものの、まだ霧雨が降り続いている。タープの下には既に全員が集まっていた。
 キャンプの早起きでは人には負けないつもりだけれど、この人達にはやっぱり敵わないなーと、自分が少しだけ若い気になってしまった。

 雨にしっとりと濡れた場内を一回りする。
 久しぶりの雨に周囲の木々は、生き返ったようにその緑を濃くしていた。雨のなごりの霧が山肌にからみつくように流れている。
 一匹のキツネが、キャンパーの帰った跡を丹念に探り、あわよくば落とし物の餌にありつこうとしていた。
 カラッと晴れた雨上がりの朝も良いが、こんな朝も心を落ち着けてくれる。
 そんなキャンプ場でのんびりとした時間を過ごし、生乾きのテントを撤収して、昼頃にはキャンプ場を後にした。
 夏になれば喧噪に包まれそうなキャンプ場だが、日高山脈の懐に抱かれたその落ち着いた姿は、やっぱり私の期待したとおりのキャンプ場だった。

雨上がりのキャンプ場   キャンプ場にやってきたキタキツネ

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