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サウナ小屋でバーベキュー幌加内キャンプ

ほろかない湖公園(6月11日〜12日)

 今回はカヌークラブの雨竜川例会に合わせて、ほろかない湖公園に泊まる予定である。
 ここは、無料のバーベキューハウスもあり、利用者もほとんどいない穴場のキャンプ場として以前から興味を持っていた場所だった。しかし、ここから40km先には私のお気に入りの朱鞠内湖キャンプ場があるので、好き好んでほろかない湖公園に泊まろうなんて気持ちにはなかなかなれなかった。
 それがクラブの6月例会でこの近くの雨竜川を下ることになり、ちょうど良い機会なのでその例会は私が担当することにして、ここのバーベキューハウス3棟を全て予約して、貸しきりで利用させてもらうことにしたのである。

 当日は雨竜川の下見を済ませてから、ほろかない湖公園に午後2時頃に到着。
 普段はほとんど利用者もいないような場所なのに、日中は管理人さんが常駐しているみたいなので驚いてしまう。
 その管理人さんに到着の挨拶をする。とても親切なおじさんである。我々がカヌークラブの人間であることを知っているので、色々と気を使ってくれた。
 その詳細をここに書くのは差し控えるが、何ごとも管理だ規制だ縛り付けられている最近の風潮から考えると、管理人さんの大らかな対応がとても嬉しくなってしまう。
 それに管理人さんの方も、久しぶりにお客さんがやってきたことが嬉しくてたまらないような様子だ。
 こんな様子を見ると、「ほとんど人の来ない場所に管理人を置くなんて税金の無駄遣いだ」と直ぐにいちゃもんをつける人間がいそうだが、ただでさえ働く場所のない幌加内ではここも貴重な職場の一つかも知れない。
 これを無駄だと言うのは、地方の実情を知らない都会に住む人間の思い上がりと言われても仕方がないだろう。

林間サイト ここには以前下見で訪れたことがあるが、その時は土で整地されたテントサイトが2箇所あるだけの本当に小さなキャンプ場だと思っていた。
  しかし後でガイドブックを見ると、そのサイトは新しく作られたもので、昔からのサイトは林間部分にも有るみたいである。
 そちらにテントを張ってみようとも考えたが、傾斜がきつくて我が家の感覚ではそこがテントサイトとは思えない。結局、土のサイトの方にテントを張ることに決めた。
 車から降りると、うるさいくらいのセミの声につつまれる。
 前回のキャンプで悩まされたブヨも、ここにはあまりいないようだ。と喜んだのもつかの間、直ぐに頭の回りでブヨ達が飛び回りはじめた。
 管理人さんと同じくこのブヨ達も、久々のお客さんを迎えてやたらと張り切っているようである。
 注意してテントを張ったつもりが、30匹くらいのブヨがテントの中に入ってしまっていたので、それを一匹一匹退治してやっと落ち着くことができた。
 空は曇っているものの、気温も上がって蒸し暑ささえ感じるくらいの陽気である。今年のキャンプで初めて半袖になった。
我が家のサイト 周りはシラカバやナラの木の初々しい新緑に包まれている。テントの外に椅子を出して思いっきり初夏の空気を吸い込みたかったが、そんなことをしたらブヨ達に私の血を思いっきり吸われることになってしまう。
 テントのメッシュ窓越しに外の風景を眺めながら、これまでのキャンプでこんな経験をしたことはほとんどないのに、前回に引き続きテントに閉じこめられるキャンプになるとは、たまたまそんなキャンプ場に連続して泊まっただけなのか、今年の気候のせいなのか、ちょっと考え込んでしまった。

 やがて他のメンバーも到着しはじめた。
 ここのキャンプ場の一番の魅力は無料で使えるバーベキューハウスである。
 外から見た感じよりも中はかなり広い。六角形の構造で五つの壁面に椅子が取り付けられ、それぞれ二人が余裕を持って腰掛けられるので、10人が入っても窮屈さは感じない。
 その中央に置かれたバーベキュー台も何やら色んな付属物が付いていて、「これってどうやって使うんだぁ?」と皆で頭を悩ますような立派な代物である。
新緑の場内 中にはスノコも敷かれ、最初は土足で入って良いものかどうか迷ってしまったが、管理人さんに聞くと土足で構わないとのこと、それくらい清潔に保たれているのだ。
 唯一の欠点は、中が暑いことである。
 今日の気温は25度くらいまでは上がっていただろうか。
 バーベキューハウスには小さな窓が二つに入り口のドア、そして天井の通気口、これらを全て開け放ってもドア方向から風が吹き込まない限り、内部の空気は淀んだままである。
 夕方近くになるとブヨに代わって大量の蚊が飛び始めた。
 蚊取り線香を焚いているバーベキューハウスに入れば蚊の襲撃から逃れられるのは解っているが、中が暑いのでもう少し涼しくならなければその気になれない。
 壁や屋根には断熱材も入っていて窓は二重ガラス、多分フィンランド製の建物だと思うが、現地では暑い時期に使用することなんて考慮されていないのだろう。
 それに、バーベキューハウスとしても使えるが、構造的にはどう見ても現地ではサウナ小屋として使われているような気がする。
 予定していたよりも参加人数が少なかったので、3棟借りた中の1棟はサウナ用として使っても良いのではと冗談が出たくらいだが、中で炭を燃やし始めるとそれが冗談では無くなってきてしまった。
バーベキューハウス内部 ランタンを二つ灯し、中央のバーベキュー台で炭を燃やし、そしてコンロで天ぷらを揚げる人がいて。入り口や窓の近くに座っている人はまだ我慢できるが、奥に座っているとまさに蒸し風呂状態である。
 そこへSさんが、別にジンギスカンを焼くからと言って真っ赤に炭が熾った七輪を一つ、新たに持ち込んできた。
 この図は以前テレビで観たことがある。
 我慢比べの会場にこれでもかと言うくらいに次々と熱源が持ち込まれる場面があるが、まさにその図である。
 一番奥に座って額からタラタラと汗を流していたNさんが「参った!」と言って外に飛び出した。
 湖も近くにあるし、さすがにNさんがそのまま湖に飛び込むことはなかったが、まさにフィンランドサウナとして利用できそうな施設である。

 辺りが暗くなる頃にはようやく外の空気もひんやりとしてきた。
 今回は倶知安からやってきたIさんが、地元で採ってきたタラの芽とウドを天ぷらにして出してくれて、これがとても美味しかった。
 幌加内付近のウドは既にかなり伸びてしまっていたが、倶知安では標高の高いところに上がればまだまだ春の山菜が楽しめるようである。
外で涼む人達 我が家が持ってきたのは、出発前に小樽に用事があってその時に鱗友朝市で仕入れてきたシャコとイカ。初めて自分でハサミをを使ってシャコを捌いたが、下手くそなので殻を剥いていくと身がほとんど無くなってしまった。
 それでも旬のシャコはとても美味しかった。
 他にも美味しい食べ物が沢山出てくる。
 カヌークラブの例会キャンプでは、作る人食べる人の役割が分かれていてこれまではそのバランスが保たれていたようだが、最近は食べる人の割合が減ってきているようである。
 我が家はシャコ、イカ以外に肉も用意していたが、結局それは出さずに終わってしまった。せっかくの食材が勿体ないので、出されたのもは何でもバクバクと食い尽くしてしまう餓鬼のような頼もしい会員をもう少し増やした方が良いかもしれない。

 バーベキュー台の炭も残り少なくなってきた。
 最後にそこで焚き火をしようと自宅からミカン箱一杯の薪を用意してきたのに、それを燃やさないまま帰るのは何とも心残りである。
 焚き火の温もりが恋しいような状況では全くなかったが、皆の批判的な視線をものともせずに、持参した薪の中から細めの3本を熾火の中に放り込んだ。
 自宅に保管してある焚き火用の薪は、建築現場から拾ってきた廃材の他に、庭木を伐採したり剪定した時に発生したものを適当な長さに切って乾燥させるために積み上げたものがある。
 今回はその中から3年ものの上等品を持ってきていたが、手に持った感触はずしりと重く、もしかしたらまだ完全に乾燥していないかとちょっと不安だった。
 しかしその心配を余所に、3年ものの薪には直ぐに火が回り、薪を舐めるような炎をあげて燃え続けてくれた。
 多分、これはリンゴの木だろう。我が家には他にサクラ、モミジ、アカナラ、ナナカマド、マユミなどの薪のストックがあるので、これからは種類毎の薪の燃え方、臭いの違いなど、新しい焚き火の楽しみ方ができそうだ。
 その3年ものの薪が燃え尽きるのを待って、宴会はおひらきとなった。
 外へ出ると雨がポツポツと落ち始めていた。
 出てくる前に確認した天気予報では雨は降らないはずだったのにと思いながら眠りにつく。

 テントを叩く雨音は一晩中続いていた。
 普通の雨音ならば子守歌代わりにもなるが、テントの真上まで周りの木の枝が伸びてきているものだから、時折その枝からしずくがまとめて落ちてくるのだ。
 「バタバタバタッ」
 一変に眠りが破られてしまう。
 寝不足気味の朝を迎えたが、相変わらず雨は降り続いていた。
 これでカヌークラブの例会は、2回続けて雨に見舞われたことになる。それでもバーベキューハウスのおかげで、前回よりはずーっと快適に過ごすことができる。
 タープの周りから雨水が流れ込んでドロドロになることもないし、それに何と言っても暖かい。
 雨も気にせずゆっくりと朝食を摂ることができた。

帰宅後テントを乾かす

 しかし雨は一向に止む気配を見せない。川下りの集合時間も決まっているので、雨が止むのを待ってテントを片付けるというわけにもいかない。
 覚悟を決めて、雨の中テントを撤収する。
 堅く締まっているとはいえ、土のサイトなのでテントは泥だらけ、そして新緑の時期なので周りの樹木からは新芽の残骸や花がらが落ちてきてテントにへばり付いている。
 そんなことは一切気にせず、ずぶ濡れのテントをたたんでゴミ袋の中にそのまま押し込んだ。未だかつてない、最悪の撤収劇となってしまった。
 最後に優しい管理人さんにお礼を言う。
 そして、土砂降りの雨の中を川下りの集合場所へと向かったが、「ところであの管理人さんは今日も5時まで勤めるのだろうか」と言うことが最後まで気になってしょうがなかったのである。


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