一休みした後で早速カヌーに乗ることにした。
湖キャンプでは、長靴に履き替えるだけでカヌーに乗り、のんびりと湖上からの眺めを楽しむと言うのが普通のパターンだが、カヌークラブのキャンプとなると、そんな雰囲気ではない。
ドライスーツに着替えてヘルメットまで装備して、波のない穏やかな水面に漕ぎ出すのだ。
今日は私一人でじっくりとパドリングの練習をすることにする。
現在のアリーを購入して、もう15年以上になる。一応カヌー歴も15年と言うことになるのだろう。
それなのに、カヌーの基本であるJストロークという漕ぎ方が全くできないと言うことに最近になってようやく気が付いたのである。まあ、Jストロークができなくても空知川を下れるので、別にどうでも良いのだが、やっぱり基本的な技術は身につけておきたい。
それとパドルを持ち替えないで、そのまま反対側を漕ぐクロスフォワード。カヌーのスラローム大会を見ていて、クロスフォワードくらいできないとお話にならないと痛感し、先週はかみさんと二人で千歳川で練習してきたのだ。
Jストロークはなかなか上手くできないが、クロスフォワードの方は何とか様になってきた気がする。
クロスを漕ぐと何となく上手になったような感じがして、「エヘヘ、俺って結構カッコイイじゃーん」なんて一人悦に入っていた。
次は他の人の、一人乗りカナディアンにも乗せてもらう。
それがやたら安定の悪い舟だったので、何もしていないのに静かな湖面の上でコロリとひっくり返ってしまった。
湖でのこんな沈は初めての経験だったけれど、「むちゃくちゃカッコワルイー」である。
私は早めに陸に上がったけれど、他のメンバーは夕方までずーっと水上に出たままである。本当に水が好きなんだなーと感心してしまう。
タープの下では、それぞれが夕食を作り始める。
メンバーの知り合いで、今回初めて例会に参加した○さんご夫婦。キャンプを始めたばかりで、私のホームページを何時も参考にしてくれているという。
皆に見てもらうようにホームページを公開しているのに、実際に見てくれている人を前にすると、何だかとっても照れくさい。。
その○さんご夫婦の今夜のメニューはしゃぶしゃぶである。
「しゃぶしゃぶ作ったのでいかがですか。」
その一言を待っていたかのように、周りにハイエナ達が群がってきて、あっと言う間にたいらげてしまう。
私もその群れの一頭に紛れ込んでいた。
我が家の今回のメニューは肉だんご汁、それを一口だけ食べて残りを中央のテーブルに提供した後は、ひたすら周りの様子を窺う。
完成した料理の臭いをかぎつけたら、直ちにシェラカップと箸を持って駆けつける。遠慮していたらこの弱肉強食の世界では生き残れないと言うことを、ようやく学習したのである。
先ほどの○さんご夫婦、しゃぶしゃぶの残り汁でラーメンを作ってくれた。
そのラーメンも、あっと言う間にハイエナ達に食べ尽くされたのは言うまでもない。
やがて対岸の洞爺湖温泉街から花火が上がりはじめた。
他のキャンプ場からもこの花火は楽しめるが、ここからが一番よく見えるかもしれない。ただ、距離はかなり離れているので、花火の迫力を楽しむところまではいかないだろう。
その花火が終わった後は、お楽しみのオークションである。
各メンバーが持ち寄った品物がオークションにかけられる。たまに掘り出し物が出品されたりするので目が離せない。
去年は、私が高い金を払って購入したばかりのPROTREKの腕時計と全く同じものが出品され、それが信じられない安値で落札されたときは本当に悔しい思いをしたものである。
くの字に曲がった木製のベントパドルが出てきた。
「これだ!」
効率的に力が水に加わり、少ない力で漕ぐことができると言われているベントパドル。かみさんが使うのにはちょうど良いかもしれない。
必死に頑張って300円で競り落とした。
これを、来月に誕生日を迎えるかみさんのプレゼントにしよう。なんて優しい夫だろう。
優しさついでに、かみさんがたまたま座るイスが無くてクーラーボックスに腰掛けているのを見て、出品されたパイプイスを100円で競り落としてかみさんに座らせてあげた。
こんなに優しくしてあげてるのに、かみさんは「もういい加減にしなさい」と冷たい視線を私に向けてくる。
もっと欲しいものが沢山あったのに、その視線に負けて大人しくしていることにした。
明日の朝は5時に中島までのカヌーツアーに出発するという話しである。9時頃になると風が出てくるので、それまでに戻ってくるには早い時間に出発しなければならないのだ。
遅くまで酒を飲んでいて、果たして明日の朝そんなに早く出発できるのだろうか?
我が家は12時を過ぎた頃に、一足先にテントに戻ることにした。
翌朝、寒さで目が覚めた。
さすがに10月になると朝晩の冷え込みは強い。そろそろダウンシュラフの出番かもしれない。
時間は5時を過ぎていたが、誰も起きているような気配がしてこない。そのうちに薪を割る音がしてきたので、我が家も起きることにした。
そのうちに一人二人と起きて来るが、誰もカヌーツアーへ行こうなんて口にも出さない。昨日の夜にカヌーツアーの話しをしていたのは一体誰だったのだろう。
もっとも私も、昨日のパドリングの練習で今朝はちょっとした筋肉痛だった。これで中島へのツアーに出かけて、その後に水上運動会などやろうものなら筋肉がパンクしてしまいそうなので、誰もツアーのことを口に出さないのが嬉しかったりする。
朝食を済ませて、運動会が始まるまでの間、かみさんと翌週のカヌーレースに備えた練習をすることにした。
昨夜のオークションで競り落とした誕生日プレゼントのベントパドルが威力を発揮するはずが、ややシャフトが短いので背の低いかみさんでも使いづらそうだ。
せっかくの誕生日プレゼントだが、来年の納会では再びオークションに出品されることになりそうである。
途中で他のカナディアンを借りて乗ってみたいが、アリーのスピードの遅さを改めて感じてしまった。アリーでレースに出場するというのは、ちょっと考えものかもしれない。
爽やかな秋空が広がり風も穏やかな絶好の運動会日和、最初のレースが始まった。
私は調子にのってカナディアンの二人乗りと一人乗りに出場したが、どちらも最下位。それでも意地になって漕いだので、この段階で早くも筋肉がオーバーヒートである。
体力が回復しないうちに次のカヌー綱引きがはじまった。
これがまた無茶苦茶にハードだった。
パドルが上げる水しぶきしか目に入らないので、勝ってるのか負けてるのかさっぱり解らない。何時までたっても審判のホイッスルが鳴らないし、体力は限界に近づいてくる。
先頭の人がパドリングを止めたように見えたので、それに救われたように全員が漕ぐのを止めてしまった。
「まだ終わってないぞ〜」との外野からの声。
アッと思ったときは、既に遅かった。
この段階でもう、体がボロボロである。
小さなフライパンを両手に持ってのカヌー手漕ぎリレーをのんびりと見物して、体力を回復。
そして最終種目のカヌーポロが始まった。
既に参加者のほとんどが疲労困憊しているはずなのに、このカヌーポロではそんな疲れも吹き飛ばしてしまうくらいに皆元気になっちゃうのである。
私が去年このカヌーポロに出たときは、大きなアリーを上手く操れずにただオロオロするばかりだった。
「でも、今年は違うぞー」
周りをちょこまかと動き回るカヤック勢の隙を突いて1ゴール決めることができて、チームも勝利。
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