どこまでも澄んだ青空が広がり、夕方にはその空が紫色に染められ、道路脇の草むらからは涼しげな虫の声が響き、爽やかな風が頬をなでて吹き抜けていく。
こんな毎日が続く中で仕事をしていると、無性にキャンプへ行きたくなってしまう。
先週末に空知川で開かれたカナディアンスラローム大会を見たかみさんが、「よーし、今週末は千歳川でカヌーの練習だー」と張り切っているのを、「ねえねえ、そんなこと言わないで、静かなキャンプを楽しみましょうよ」と説得して、キャンプに付き合ってもらうことにする。
しばらく賑やかなキャンプが続いていたので、久しぶりに我が家本来の静かなキャンプをしたかった。それも、できれば誰もいないキャンプ場で。
ちょっと前に、何気なく眺めていた道路地図で、あまり聞いたことのないキャンプ場を発見していた。
もしかして穴場キャンプ場を新発見?、一応北海道キャンピングガイドで調べてみたところ、残園ながらその中でも既に紹介されているキャンプ場だった。
でも、その内容を読んでみると、ほとんど利用者もいないみたいだ。
そこは「豊岡農村公園キャンプ場」、静かなキャンプを楽しむにはおあつらえ向きの場所である。
当日、キャンプ場へ行く前に、近くにある「黄金水松」というオンコの巨木を見に行くことにした。
道路標識に注意しながら走っていくと、手作りアイスクリーム「モータンハウス」という手製の看板がやたら目に付く。
観光地に続く道路ならばよく見かけるような看板だが、ここの道路は地元の人(その付近に住む農家の人)しか通らないような場所である。
私だって、豊岡農村公園という聞いたこともないキャンプ場に泊まることにして、たまたまその近くに「黄金水松」という名前の標示を地図上で見つけて、物好きにもわざわざ遠回りして何も無い山奥の道に入り込んできただけなのだ。
一応この近くにはカナディアンワールドと言う忘れ去られたテーマパーク(現在は公園)が存在するが、そこへ行く人だってここの道は通らないだろうと思われる。
果たして、どんなアイスクリーム屋があるのだろう?「黄金水松」よりもそちらの方に興味が湧いてきてしまった。
肝心の「黄金水松」は、樹齢3000年、幹周6.2mという巨木であるが、枝張りが大きいわけでもないので、私としてはそれほど感動を覚えなかった。
「モータンハウス」はそこから直ぐ近くにあった。
よく見かける手作りアイスクリーム屋と同じく、小さな店の周りには花を植えて小綺麗にしている。
隣の牧場の奥さんが趣味でやっているような店なのだろうか。
アイスクリームはねっとりとした食感でなかなか美味しい。テーブルの上に隣の牧場の説明が書いてあったが、それを読むと結構有名な牧場みたいだ。
我が家がアイスクリームを食べている間にも、軽トラックに乗った社長と呼ばれていたおじいさん、オープンカーに乗った若者もやってきて、それなりの賑わいである。
何となくほのぼのとした感じに包まれた、不思議なアイスクリーム屋さんだった。 |