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カヌーでヘトヘトモラップキャンプ

モラップキャンプ場(10月11日〜12日)

 所属するカヌークラブの納会、支笏湖のモラップでのキャンプに参加するか、それとも静かなキャンプ場でのんびりと過ごすか、今回は迷いに迷った。その迷いの大きな原因は、気まぐれな天気予報と紅葉の進み具合である。
 せっかくの3連休、静かなキャンプ場で紅葉を眺めながらまったりと過ごす。これが最初の目標だった。
 ところが、週間予報では3連休は生憎の天気になっていた。雨の中では、とてもじゃないがまったりとは過ごせそうにない。もしかしたら紅葉は、その次の週の方が見頃かもしれない。3連休は例会に参加して、次週に紅葉キャンプへ・・・。
 でも、週間天気予報なんて外れるのが当たり前。次週まで延ばせば、もしかしたらせっかくの紅葉が散ってしまっているかも。
 それに、次週にもキャンプへ行けば、3週連続キャンプ。息子を家に残して、親ばかりが遊び歩いているという現実にも目を向けなければならない。
 以前は団体でのキャンプを完全に拒絶していたかみさんだったが、最近はグループキャンプアレルギーも次第に弱まってきているみたいだ。
 前日になっての最終決断。
 相変わらず天気予報は当てにならないが、それでも3連休の最終日は天気が崩れそうだ。それならば、1泊でクラブの納会に参加するという線も出てくる。
 次週は息子の弓道の大会がある。お弁当くらい作ってやらなければ。息子に聞いてみたら、「そんなもん、何処かで弁当を買うからどうでも良いだろう」。くどくどと考える親と違って、意外と子供の方があっさりしているものである。
 紅葉だって、木々の枝を彩る艶やかな葉よりも地面を埋め尽くした落ち葉の方が風情があるものだ。
 3連休は1泊でカヌークラブの納会キャンプに参加、次週も1泊で晩秋の紅葉キャンプへということに決定した。
 毎度のことだが、たかがキャンプへ行くのにどうしてこれだけ頭を悩まさなければならないのだろう。

 当日、かみさんの提案により、まずは鵡川へ向かう。数日前の新聞に、鵡川でシシャモ漁が始まった記事が載っていたのである。漁が始まったばかりの、今時期のシシャモが一番美味しいとのことである。
 メスのシシャモは信じられないくらいに高いが、雄のシシャモは半額以下だ。でも、焼いて食べるのならばオスの方が脂ものっていて美味しい。
 すだれ干しのオスの特大シシャモ、1串10匹700円を4串購入。有名な大豊寿司でシシャモ寿司も食べたかったが、そんなところで食べたら高すぎるとの主婦の意見により、同じ店で持ち帰り用のシシャモ寿司800円を買うことにした。
 このすだれ干しのシシャモ、串にぶら下がった状態のまま箱に詰められ、その上に紙を1枚被せただけ。そのまま車に乗せて支笏湖へ向かったが、その道中、車の中が生臭くて堪らないのには参った。
 車内に漂う不快な臭いとは裏腹に、車窓の紅葉は息を呑むような美しさだ。紅葉ドライブを楽しむルートとしては、私のお気に入りの道の一つでもある。ただ、交通量が多いのであんまりのんびりと走れないのが玉に瑕である。

我が家のテントサイト 道沿いの紅葉を楽しみながら、モラップキャンプ場へ到着。
 入り口の売店付近は車で一杯だったが、キャンプ場の方は数えるくらいのテントしか張られていない。天気も良くて紅葉最盛期の支笏湖だというのに、このキャンパーの少なさは一体どうしたことだろう。
 最近、キャンプ人口が減ってきているという話しは良く聞くが、確かにここの様子を見てもそれは事実のようだ。
 美笛が閉鎖されているので、もしかしたらモラップは混んでいるかもしれない。ちょっと心配していたので、これは我が家にとっては嬉しい状況だった。
 駐車場の一番奥近くにカヌークラブの大きなタープが張られていた。モンベルの巨大タープを二つ連結して、そのサイド3面にビニールシートを張って、完璧な宴会スペースが出来上がっている。
 私と一緒に去年カヌークラブに入会したSさんの作品だ。
 Sさんは、春や秋に仲間とキャンプを楽しんでいるが、この大型タープとサイドのビニール張りは何時も重宝がられている。
 その場所から離れて、キャンプ場の一番奥の方に我が家のテントを張ることにした。そのテントは寝る用意だけして、後は大型タープの下に荷物を運び込む。
 このキャンプ場には初めてテントを張ったが、砂浜部分は細かい石になっていてテントなどが汚れることもなく、とても設営しやすい。それに、この一番奥の部分、すぐ後ろまで山が迫りとても良い場所だ。
 これまで、モラップには良いイメージを持っていなかったが、すっかり見直してしまった。
 何時もの設営後のビールタイム、今回は本格的なビールサーバーが用意されていたので、缶ビールではなくて生ビールで乾杯。やっぱり生は最高!だ。

 タープの下でまったりとしていると、時々美味しそうな料理が出来上がってくる。
 ダッチオーブンなんか使って、ササッと料理して、ハイどうぞーなんて美味しい料理を出してくれるのだ。その手際の良さに感心してしまう。
 私の場合、料理に関しては全てかみさんまかせ。どう頑張っても、かみさんの方が料理が上手いのだから、私が作ったまずい料理を食べることもない。
 これまでの我が家のキャンプで、私が料理を作ったのは1回か2回程度だったと思う。米を炊くのだけが私の役目だ。
 最近、さすがにこれでは良くないなーと思うようになってきた。木工とか、物を作ることが結構好きなので、料理を趣味にすれば意外とはまってしまうかもしれない。小学生の頃は、料理の本を読みながら自分で料理を作っていた事だって有ったのだ。
 一応、「男のアウトドア料理」なんて本も持ってたりするのだが、料理に関してはかみさんの方がプロである。
 まずは、料理の基本を覚えるためにこのプロに師事しようと思い、半年ほど前に「これから休みの日に夕食を作る時は私を助手として使って下さい。」とお願いしたことがあった。
 「突然何を言い出すの!」と驚かれたが、快く弟子にしてもらえることができた。しかし、その後今日になるまで一度も料理を手伝ってはいないのだが・・・。

カヌーの風景 美味しい料理に生ビール、ホンワリと酔いが回ってくる。
 湖畔にはカヌーの見本市のように様々なカヌーが並べられていた。せっかく他のカヌーに試乗できる機会なのに、このまま酔っぱらってしまってはもったいない。少しビールのピッチを落として酔いを醒まし、カヌーに乗ることにした。
 OC1と言って、一人乗りのカナディアンカヌーがある。川の中でも自由に舟を操れ、エスキモーロールもできてしまうようなカヌーである。一度、洞爺湖のキャンプでそのタイプのカヌーに乗せてもらったことがあるが、普段乗っている我が家のカヌーと違って安定性が悪く、乗り込む時に沈をしてしまうという失態を演じたことがある。
 でも、クラブで川を下っている時にOC1乗りの人達を見ていて、強い憧れを持っていたのだ。
 そのOC1の1艇を借りて湖に漕ぎ出す。乗り込む時に沈こそしなかったが、同じ場所をクルクル回るだけで、全然前に進まない。
 初めて夫婦でカナディアンカヌーに乗った時も、今回と同じように、思うとおりに前に進めなかったことが有ったが、今は少しはパドリングにも自信が付いてきていた。それでも、初心者のようにクルクル回ってばかりというのは、とても情けない。
 諦めて自分のカヌーに乗り換えたが、OC1に乗った後なので、いつものアリーが巨大戦艦みたいに感じてしまう。小さな舟をチマチマ漕ぐより、大きな舟を自在に操る方が格好良いのだ。そう自分を納得させた。

宴会風景 その後はひたすら宴会モードである。
 Sさんが用意してきた薪で盛大な焚き火をする。他のメンバーは、タープの下で焚き火をするなんて信じられないと驚いていたが、これがいつものSさんのスタイルである。
 タープの布の表面が、これまでの焚き火の煙のヤニでコーティングされているらしく、少しくらいの火の粉ではまったく大丈夫とのことだ。
 焚き火台の中にどんどん薪をくべるSさんを見て、「さすがにそれは、ちょっとやりすぎでないのー」と心配したが、パチパチと舞い上がる火の粉にもタープはビクともしないようだ。
 10月とは思えないくらいに暖かな夜だったが、ビニールの囲いと焚き火の威力で、タープの中は暑いくらいになっている。
 途中でクラブ恒例のオークションが行われた。結構高価な品物が提供されていて、それがお得な値段で競り落とされる。
 ショックだったのは、出品されたプロトレックの腕時計である。私も数ヶ月前にプロトレックの腕時計を2万円くらいで購入したばかりなのだが、それよりも高機能な製品が2千円で競り落とされたのだ。
 私はと言えば、1700円の釣りの本を120円で競り落としたくらいで、まあそれで我慢しておこう。
 いつの間にか時間は12時近くになっていたので、そこで宴会を抜けて寝ることにした。我が家のキャンプにしては信じられないくらいの夜更かしになってしまった。

 夜中に暑くて目が覚めた。その時のテントの中の温度は13度。やっぱり冬用のシュラフでは、0度くらいまで気温が下がってくれないと快適に眠れないみたいだ。
 朝は6時に起き出した。我が家の場合、夫婦そろって7時間以上は眠らないと寝不足になってしまうタイプなので、さすがにこの日の朝は辛かった。
 それならば、もう少し寝ていれば良さそうなものだが、これもまた夫婦そろって貧乏性なものだから、キャンプで寝坊するのが勿体なくてどうしても早起きしてしまう。
 モラップのキャンプ場は東側に山が迫っているので、朝日を直接楽しむことはできない。その代わりに、湖の反対側に位置する恵庭岳が朝日に照らしだされ、また、その姿が湖に映り込んで、とても美しい。
 今時期ならば山肌が紅葉しているのでなおさらだ。
 ただ、この日の朝は薄い雲がかかっていたので、そんな光景を楽しむことはできなかった。

水上綱引き 朝食を済ませて、今回のキャンプのメイン行事、水上運動会が始まった。
 競技種目はパン食い競争、リレー、綱引き、カヌーポロの4種類、このように書くとかなり本格的な競技会のように思えてしまうが、実際はただのお遊びなので、いたってのんびりとしたムードが漂っている。
 それでもカヌーに乗るとついついムキになって漕いでしまう。特にカヌーポロなんかになると、皆かなり本気である。
 5分程度の試合時間だが、その間水上のボールを追い回して必死にパドリングするので、終わった後はもうヘロヘロだ。
 久しぶりに無邪気になって騒いだ気がする。
 日差しはまるで春を思わせるような暖かさだ。
 運動会の景品をもらって、お昼に用意されたうどんとソバをご馳走になって、砂浜にゴロリと寝転がって、久しぶりにのんびりとしたキャンプを楽しむことができた。
 でも、こんなに天気が良ければ最初の予定通り紅葉キャンプへ出かけても良かったかな、なんて欲張りな気持ちも出てきてしまう、秋の1日だった。

※ 水上運動会の様子など、ウィルダネスカヌークラブのホームページにアップしてありますので興味のある方はどうぞ。「アルバム」と言うところから見られます。


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