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大波小波屈斜路湖キャンプ

和琴半島湖畔キャンプ場(6月27日〜29日)

 キャンプ旅行へ出かける前に本屋で観光ガイド雑誌を購入
 その時、レジの横に置いてあった「ながせ義隆独断取材とっておき北海道」という小冊子が目に入ったので、ついでにそれも200円で購入した。
 そこに載っていたのが弟子屈市街にある「かねはちそば屋」だ。今日の昼食はそこで食べる予定である。
 釧路市内で壊れてしまい音のでなくなった我が家の人間カーナビだが、ようやく調子が戻ってきたみたいだ。
 その人間カーナビを頼りに目的のそば屋に向かう。ところがやっぱりおかしい。この人間カーナビにはGPSが付いていないため、現在走っている道路の位置を把握していないのである。GPSの付いていないカーナビなんて・・・。
 人間カーナビのスイッチを切って、自力でそば屋までたどり着いた。
 店にはいると無愛想なじいさんが出迎えてくれる。お客さんも地元の人ばかりみたいだ。
 本の中で紹介されていた「かしわセイロ」を注文したが、これがなかなか美味い。
 我が家のこれまでの旅行では、途中の食事はほとんど行き当たりばったり、そのために結構外れくじを引いてしまうことも多かった。
 今回はあらかじめ調べておいたので、毎日美味しいものにありつける。観光ポイントはその時の気分で決めても良いが、食べ物屋だけは事前にしっかりとリサーチしておいた方が良さそうである。
 途中から元気の良い青年が店に出てきたが、彼がここの息子みたいだ。親子二人で頑張る弟子屈のそば屋、食べてみて損をすることはない。
 満足して店を出た。

我が家のサイト その後は直ぐに、今日の目的地屈斜路湖の湖畔キャンプ場に向かった。
 さすがに人気のキャンプ場である。平日の早い時間であるにもかかわらず、既にかなりの数のテントが張られていた。
 ここでは荷物運びを覚悟していたのだが、ラッキーなことに中まで車で入ることができた。6月中は車の進入を認めているとのことだ。
 このキャンプ場に泊まるのは11年ぶり、まだ可愛い盛りの息子を連れての、キャンプ旅行の途中に立ち寄った思いで深い場所でもある。その時にここの売店で買った、名前を彫り込んだ木の刀もまだ我が家に残っている。
 その時は荷物運びも大変なので入り口の近くにテントを張ったが、今回は車が入れるので一番奥の林間のサイトを狙う。
 残念ながらそこには既に先客がいたので、その手前の木の間にテントを設営した。
 人間が来るのを待っていたかのように蚊が群がってくる。印象としては、これまで泊まったキャンプ場の方が蚊が多そうな気がするが、気になるほどでは無かった。
 堪らずにテントの前室に逃げ込む。我が家のテントは前室部分がスクリーンテントのような構造なので、こんな時にはとても便利である。
 でも、せっかくこんなにロケーションの良いキャンプ場にやって来て、テントの中に閉じこもっているのも勿体ない。
 外に出ようと思ったら、突然風が強くなってきた。それとともに、到着した時はさざ波が立つ程度だった湖面の様子が一変した。
 3週間ほど前に同じ屈斜路湖で、天候の急変によってカヌーが転覆し二人が死亡するという痛ましい事故が発生したばかりだが、その時ほどの風では無いとしても、カヌーで沖に出ていてこれだけ急に天候が変わってしまうと、ちょっと恐ろしいものがある。
 このカヌー事故だが、ツアーガイドと一緒に釣りをしていた2艇のカヌーが転覆し、救助が遅れたため低体温症により釣り客二人が死亡、一人が重体、という内容だ。
 ニュースでこの事故を知った時は、また安易なツアーと未熟なガイドが原因なのだろう、という程度にしか思わなかったが、後日そのツアーガイドの方を良く知る人から話を聞いて、その考えは一変した。
 そのガイドの人は、地元でもカヌーツアーなどでの安全対策の活動に最も積極的に取り組んでいた人物ということで、事故当時も穏やかな天候の中、岸から数十メートル程度のところで釣りをしていたということだった。
 それが、予想も付かないような天候の急変、十分な技術を持ってしても僅かな距離の岸までたどり着けないような風と波、その後の予定の関係でドライスーツを身につけていたため、自分だけが無傷で助かってしまったという事実、自然の恐ろしさを改めて感じてしまうとともに、当事者の方の心の中を思いやると、本当に複雑な気持ちにさせられてしまう事故だった。

 一向に風のやみそうな気配がないので、温泉に入りに行くことにした。
 ドライブ気分で川湯温泉まで行ってみることにする。途中に砂湯のキャンプ場があるが、金曜日と言うこともあってキャンパーの姿はほとんど見えない。
 ここもファミリーには人気のキャンプ場だが、観光バスが必ず立ち寄るような観光地で、サイトも道路からまる見え、我が家の趣味には合わないので何時も道路を走りながら眺めるだけだ。
 立派な温泉ホテルが建ち並ぶ温泉街、かみさんは汚い格好でこんなホテルの温泉には入りたくないという。別にシティーホテルではないのだからそんなこと気にしなくても、とも思ったがやっぱりこぢんまりとした温泉の方が気軽に入りやすい。
 途中まで戻って仁伏温泉の「こぶしの里」という温泉民宿に入ったが、ここはちょっとこぢんまりとしすぎていた。
 それなりに小ぎれいだけど、他には何の特徴もなし、やっぱり人気の三香温泉露天風呂に行った方が良かったかもしれない。

 キャンプ場に戻ってきても相変わらずの強風が吹いていた。かなりの高さの波が岸辺へ打ち寄せている。海の波と違ってその周期が短いので、かなり耳障りな波の音である。
 夕食のシーフードカレーの準備を始めた。
 尾袋沼漁港で仕入れた巨大ホタテの殻をはずす。プルンとした貝柱がとても美味しそうだ。
 これをカレーに入れてしまうのはもったいない、などと言いながら味見をしているとあっと言う間に1個を食べてしまった。
 そのまま全てビールのつまみに消えてしまいそうだったところを、グッとこらえてカレー用に残しておくことにする。
 後はテントの中に持ち込んでじっくりとカレーを煮込むだけだ。
 湖から吹き付けてくる風が強いので、湖側のメッシュの窓を閉じてしまう。せっかくのキャンプでこれはとっても情けない状況だ。
 残ったホタテを炭で焼いて食べるつもりだったのも、テントの中でフライパンでのバター焼きに変更しないとダメそうだ。
ホタテを焼く 風が強いときのキャンプほどつまらないものはない。
 そんな状況の中、我が家の近くにやってきたファミリーキャンパーが、風なんか気にしないように焚き火で料理を始めた。
 彼らの装備は小さなドーム形テント一つだけで、イスやテーブルは吹きさらしの状態。気の毒だなー、なんて思いながら彼らの様子を眺めていたが、そんな強風が気にもならないように遊んでいる子供達の様子を見ていると、もしかして気の毒なのは自分たちなのかもしれないという気がしてきた。
 便利な前室付きのテントを手に入れたおかげで、その中に閉じこもってしまい、自然を肌で感じるようなキャンプの楽しみを忘れているんじゃないだろうか。
 彼らに刺激されて、外で炭を熾すことにした。着火剤に火を付けると、強風にあおられて一気に燃え上がる。いつものように内輪で扇ぐ必要もない。
 小砂利の岸辺に座り込むと、それほど風も気にならなかった。
 ホタテが大きすぎて、我が家の小さなバーベキューコンロでは3枚乗せるとはみ出してしまう。ホタテの焼き具合を見ながらビールを飲んでいると、何となく楽しくなってきた。やっぱりキャンプは外で楽しむものである。

ホタテのステーキ ホタテが焼き上がり、食事はやっぱりテントの中でゆったりと味わうことにした。
 そのホタテを皿の上に移すと、まるでステーキのようだ。シーフードカレーも貝のエキスがしみ出していて、なかなか美味である。
 メッシュの窓から隣のファミリーの様子を窺う。彼らがここに到着した時から感じていたのだが、とあるホームページのファミリーにとっても似ている感じだ。
 そのホームページは、私がサイトを立ち上げた初期の頃からお互いにリンクしているページで、掲示板やメールでも何回かやりとりをしている。
 ただ直接会ったことは一度もなく、似ていると言っても顔をしっているわけでもない。ホームページの写真に写っていたガダバウトチェア、それと子供が二人いるという程度のことしか知らなかったわけだが、それでも何となく間違いないだろうという気がしていた。
 明日にでも声をかけて見ることにしよう。
 一向にやまない風とせわしない波の音を子守歌に眠りについた。

屈斜路湖の朝 朝目覚めると、ポチャンポチャンと優しい波の音が聞こえていた。昨夜までの、周りの音を全てかき消してしまうような猛烈な波の音が嘘のようである。
 テントから出てみると久しぶりの青空が広がっていた。今回のキャンプ旅行へ来てから初めてお目にかかるような青空だった。
 屈斜路湖の湖面も鏡のように周りの景色を写し込んでいる。
 直ぐにでもカヌーで漕ぎ出したい気持ちだったが、今日は釧路川の川下りを予定しており、わざわざカヌーを車から降ろすのも面倒だ。
 岸辺を散歩しながら屈斜路湖の風景を満喫するだけで我慢することにした。
 我が家より先着していた一番奥のグループは、皆、レトリーバーなどの大型犬を連れており、そんなグループの集まりなのだろうか。
 夜の間に人数も増えたみたいで、大型犬の数も10匹以上はいそうだ。我が家の愛犬弱虫フウマはすっかりびびってしまい、テントの中で小さな声で唸っている。
 今日の川下りは、スタート地点までのカヌーの搬送を業者にお願いしてあるので、待ち合わせ時間に遅れないよう早めにキャンプ場を出発した。(川下りの様子は後日アップします)

 釧路川を満喫してキャンプ場に戻ってくると、例のワイルドファミリーキャンパーはいつの間にか帰ってしまったようだ。
 多分もう1泊するのだろうと思って声をかけずにいたのが失敗だった。
 自宅に帰ってきてからメールで確認してみたところ、そのファミリーはやっぱり「丸太小屋通信」のKさん一家だった。
 Kさんも我が家を見て多分そうだろうと思っていたようだが、結局お互いに声をかける機会がないままに終わってしまった。
 実際には場内ですれ違ったときに挨拶を交わしたり、娘さんが水道の蛇口に手が届かなくて困っていたのを助けてやったりと、それなりの接触は会ったのだが、はにかみ屋の二人のキャンパーはそのまま別れてしまったのである。
 Kさんは現在根室に住んでおり、この広い北海道の中で同じ日に隣同士でテントを張っているなんてかなり希有なことのように感じられたが、同じ趣味の人間がこうしてフィールドでばったり出会うことって意外と多いことなのかも知れない。
 
 今日の温泉は妻の希望により「クアハウス屈斜路湖」へ行くことになった。
 私は相変わらず三香温泉の露天風呂希望だったが、シャンプー・ボディーソープ・シャワー付きの施設が良いという妻の希望を受け入れることにしたのだ。
 「クアハウス屈斜路湖」も、温泉の雰囲気は乏しいが、打たせ湯、バイブラバスなんかがあって結構楽しめる。中でも箱蒸しというのが、サウナよりも大量に汗が出る感じで気に入ってしまった。
 温泉から戻ると、さすがに人気キャンプ場の週末である。場内もほとんどテントで埋まっていた。
 こんなに賑やかなキャンプ場に泊まるのは本当に久しぶりの気がする。
 最近は他にキャンパーがいないような場所にばかり泊まっているので、愛犬フウマもそんな場所ではキャンプ場全体が自分の縄張りのような顔をして、遠くに人の姿が見えただけで吠えるようになってしまった。
 それでも、ここのキャンプ場ではテントから数メートル以内を自分の縄張りと考えているようで、一応はわきまえているみたいだ。
犬軍団 だが、例の犬軍団が横を通ると、どうしても吠えてしまう。
 確かこのキャンプ場では、小型犬か中型犬までは認められているはずである。どこかのキャンプ場のように、全て決まり決まりでキャンパーを縛り付けるような管理をしていないので、彼らも多めに見てもらっているのだろう。
 しかし彼らが、せっかくの管理者の好意を踏みにじるかのように、大型犬をリードも付けずに場内を歩き回らせている様が気になって仕方がない。
 絶対に人に迷惑をかけることは無いという自信があるからそうしているのだろうが、中には犬を見ただけで怖くなってしまうような人もいるはずである。
 こんな他人を思いやる心を持たない飼い主のおかげで、ペット禁止のキャンプ場が増えてくることになるのだろう。
 まあ、我が家だってテントにいるときは愛犬を放したままにしているので、偉そうなことを言う資格は無いのかもしれないが。

 今夜のメニューは、尾岱沼で仕入れたアサリがまだ余っていたので、アサリのスパゲティになった。厚岸で買った牡蠣の薫製もまだ残っていたので、それを酒の肴にする。
 これで旅の途中で仕入れたものは全て食べ尽くしてしまった。
 トイレまで行く途中、子供達のはしゃぎまわる声、花火の煙の臭い、遠くから聞こえるカエルの鳴き声、夏が直ぐそこまで近づいて来ていることに気がつく。
 キャンプ旅行の最後の夜、場内が混んでいる割にはそれほど騒がしくもなく、充実した気持ちで静かに眠りについた。

湖上から というのは、酔っぱらって直ぐに寝てしまった私の感想で、妻の方は周りの騒ぎ声が気になって深夜まで寝付かれなかったようである。
 翌朝、屈斜路湖の空は再び低い雲に覆われていた。昨日1日晴れたのはまぐれみたいなものだったのかもしれない。
 それでもべた凪の屈斜路湖の湖面に魅せられて、カヌーで漕ぎ出した。
 久しぶりに湖でカヌーに乗った気がする。川を下るのも楽しいが、静かな湖の上で何もしないでただ浮かんでいるだけと言うのも、やっぱり楽しい。
 そんな時間をもっと楽しんでいたかったが、今日は一気に札幌まで走らねばならず、空模様も次第に怪しくなってきたので、早々に片づけを始めることにした。

 キャンプ場を出ると直ぐに雨が降り出した。
 今回のキャンプ旅行では釧路川の川下りの時に晴れたくらいで、後は全てどんよりとした雲に覆われ、時々霧雨にも見舞われた。
 それでも、4泊5日の僅かな間だったが、体の奥深くまで道東の景色が染みこんだような気がする充実した時間を過ごすことができた。
 帰り道、途中の直売所で大きなラワンぶきを1本100円で分けてもらい、それを今回の旅行の唯一のお土産にして一路札幌を目指した。


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