今回は空知川の川下りのための前泊キャンプ、金山湖から下流を下るので、集合場所に一番近い山部自然公園太陽の里キャンプ場を利用することにした。
近くには金山湖キャンプ場もあるが、人気のキャンプ場でとても7月の週末に泊まる気はしない。
それに今回は、一緒に下る予定の4組ほどのファミリーとのグループキャンプでもあり、適当なスペースを確保できる場所が必要だった。
どうせグループキャンプをするのならば、大にぎわいの金山湖でも良かったのだが、荷物運びのことを考えるとやっぱり山部の方が我慢できる範囲内なのである。
北海道はしばらく蝦夷梅雨のような天気が続いていたが、その中でも週末だけは晴れるとの予報が出ていた。
あこがれの空知川を下れるので、気持ちはかなり盛り上がっていたが、前日の天気予報ではその予報が突然雨マークに変わってしまっていた。
毎度の事ながら、コロコロと変わる天気予報には何時も一喜一憂させられる。
出発日の朝にカヌーを組み立てたが、その日の札幌の気温は急上昇し、おまけにとても北海道とは思えないような蒸し暑さだ。
滝のような汗を流しながらカヌーを組み立て終わり、シャワーを浴びてから札幌を出発した。
目的地の富良野方面はちょうどラベンダーが見頃を向かえており、普通のルートを走ったのでは大渋滞にまきこまれる恐れがある。かなり遠回りになるが、日高町経由でキャンプ場に向かった。
現地では、前日夜に到着した人が、キャンプ場入り口横に大型タープを張って場所を確保していてくれた。
最初は、テントだけはキャンプ場の奥の方に張ろうかとも考えたが、明日は川下りのために直ぐに出発しなくてはならないし、どうせ夕方から宴会モードになるのだから、我が家のいつものペースのキャンプはできそうにない。
割り切って、入り口の直ぐ横にテントを張ることにした。
いつもは、そのキャンプ場のベストポイントを探し出して、そこにテントを張るのが我が家のキャンプの楽しみの一つなのだが、今回テントを張った場所はあまりにもそれとはかけ離れていた。
そもそも、その場所は本来のテントサイトでは無いのかもしれない。キャンプ場の平面図が書かれた看板は、その奥に立っているのである。
おまけにその時解ったのだが、今回の参加者は全て自走式やトレーラーのキャンピングカー、キャンピングカーを所有していないあと一人も車の中で眠るとのこと。そこでテントを張るの我が家だけなのである。
なんてこった!
蒸し暑さの中、テントを張り終わり、グググーッとビールを飲みたいところだったが、後で富良野のラベンダー見物を予定していたので、350の缶ビール半分だけで喉を潤した。
もしもそこで1本全部飲み干していたら、そのまま寝るまでタープの下でビールを飲み続けることになっていたかも知れない。
キャンプ場内をぐるっと一回りして、アルコール分を蒸発させた。
ここに泊まるのも8年ぶりになる。料金が無料なのに場内は綺麗に整備されており、サイトの奥には秀峰芦別岳が間近にそびえ、素晴らしいキャンプ場である。
今度泊まる時は芦別岳が一番美しく見える場所にテントを張ろうと考えていたのに、まさか入り口の直ぐ横にテントを張ることになってしまうとは。
直ぐ近くの富良野がラベンダー観光で一番賑わっているときなのに、キャンプ場は意外なほど空いていた。これならば、余裕で好きな場所にテントを張れたのにのと悔しくなってしまう。
その後、ラベンダー観光に出かけたが、ぼんやりとした霞がかかったような空模様で、ラベンダーの花の色も心なしかくすんだような雰囲気だった。
キャンプ場に戻ってくると、既に全員が到着して宴会モードになっていた。
朝からじっくりと時間をかけてカレーを作ってくれていた方がいたので、我が家はレトルトご飯を温めるだけといういつもの手抜きぶりを発揮し、そのカレーを美味しくいただくことにした。
何時ももらってばかりでは申し訳ないので、イカとホタテを一応は持ってきていたが、他の皆さんのあまりにも豪華な食事に圧倒され、出しそびれてしまう。
我が家の場合、キャンプでは食事にはそれほど手間をかけないのが常なので、このようなグループキャンプでは何時も戸惑ってしまうのだ。
独身ソロキャンパーならば、箸とシェラカップだけ持ってきて、いただきまーすで通用するが、大人のファミリーキャンパーとしてはさすがにちょっと抵抗がある。かといって、ちょこちょこっと何か作って、こんな物作ったので食べてみてくださーいと出せるほどの余裕もない。
さっさと食事を済ませて、後は静かに自然の息づかいに身を任せているのが一番落ち着くのだ。
キャンプグッズもオオーッと目を見張る物ばかり。テントキャンパーでは考えられないような品物が、次々と車の中から登場してくる。
もしも我が家がキャンピングカーを手に入れたとしたら、今とは全く違うキャンプスタイルに変わってしまうのだろう。
ちょっとだけ興味はあるが、今のキャンプスタイルが一番気に入っているので、まだしばらくはファミリーソロキャンパーとしてのキャンプが続きそうだ。
翌朝起きてみると、夜の間に降った雨でテントがびしょ濡れになっていた。
それでも、青空がのぞいて、霧にまとわりつかれた芦別岳がその霧を振り払うように、徐々にその姿をはっきりと現してきた。
ちょっと蒸し暑いが、絶好の川下り日和になりそうだ。
早めにテントを乾かさなければならないので、雑巾でテントに付いた雨の滴を拭き取る。
朝食を済ませて、生乾きのテントを撤収し、いよいよ今回の最大の目的、空知川の川下りへと出発だ。
いつの間にか、芦別岳は暗い雲に覆われ、全く見えなくなってしまっていた。
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