トップページ > キャンプ > キャンプ日記 > 2001年キャンプ日記

風、雨、そして・・・、洞爺湖キャンプ

壮瞥林野弘済会滝之上キャンプ場(9月2日〜3日)

 今年は例年になくキャンプへ行く機会が少ない。
 今月も週末に仕事が入っていたり法事があったりと、日程的にはかなり厳しい。
 それでも私は2回ほどソロでキャンプへ出かけているのでまだ良いが、可哀想なのは妻の方である。
 何とか、ゆっくりとキャンプができる機会を作ってやりたいと考え、妻の休みに合わせて日・月でキャンプへ出かけることにした。
 こう書くと格好良く聞こえるが、本当は自分がキャンプへ行きたかっただけの話しなのである。
 ここしばらく湖畔のキャンプを楽しんでいなかったので、今回は洞爺湖のキャンプ場へ行ってみることにした。
 天気予報もまずまず、日・月なのでキャンパーも少ないだろうし、久々の快適なキャンプの予感に心も弾んでくるようだ。
 ちょっと気がかりなのが、「YAHOO!天気情報」の壮瞥町ピンポイント天気予報で、やや風が強いとなっていることだ。
 風向きは北風、ということは第一候補に考えていた滝の上キャンプ場では、もろに湖から風が吹き付けてくる形になる。
 まあ、そんなことを心配しててもしょうがない。
 まだぐっすりと眠ったままの息子の朝飯、いや、昼飯の用意を済ませて家を出発した。

 空は曇り空だったが、中山峠を越えたとたん、真っ青な秋空に変わった。
 途中、留寿都の辻畜産の直売所に寄り、バーベキュー用の肉を仕入れる。
 この店はNIFTYのキャンプ関係のフォーラムで話題になっているお肉屋さんだ。
 この付近は、これまでにも数え切れないくらい通っているが、そんな店があるなんて今まで全く気が付かなかった。
 店の中には、焼き肉好きには嬉しくなりそうな食材が沢山並んでいる。
 ただ、一パックの量が多いので、色んな種類を買いそろえていてはとても二人では食べきれない。
 豚トロとカルビを買ったが、それでも全部食べるのは無理そうだ。愛犬フウマが喜ぶことになるかも知れない。

 国道から曲がって坂道を洞爺村へ降りていくと、すばらしい湖の眺めが目に飛び込んできた。湖の対岸には、まだ煙を上げている有珠山の姿も見える。
 洞爺村の湖畔沿いにはテント設営可能な公園が広がっているが、ロケーション的には洞爺湖のキャンプ場の中ではここが一番だと思う。
 ついでに、今年できたばかりの財田キャンプ場を覗いてみることにしたが、想像していた以上にしっかりとしたオートキャンプ場だったのにビックリさせられた。
 私のサイトの掲示板にここの情報が少し紹介されていたが、どうせ民営のお粗末なキャンプ場だろう、程度に考えていたのである。
 料金まで含めた総合的な部分では、同じ洞爺湖のグリーンステイキャンプ場よりもレベルは上かも知れない。
 
 天気の良い日曜日ということもあって、湖畔はどこもにぎわいを見せている。
 ただ、予想通り風は強めで、湖もかなりの波が立っており、今日のところはカヌーでは遊べそうもない。
 滝の上キャンプ場に到着して、湖畔沿いの凸凹道を一番奥まで車を進める。
 ここは一昨年他の人から教えられた場所で、他からは隔離されたような隠れ家的なサイトである。
 幸い、他のキャンパーは誰もいなかった。
 車から飛び降りたフウマは、喜んであたりを駆け回っている。
 洞爺湖でテントを張るのならば、当然入り口は湖側に向けたいところだが、今日ばかりはそうもいかない。
 しょうがなく山側に向けて設営したが、それでも入り江の部分がテントの前に見えるような位置取りなのでまずまずのテントサイトになった。
 でも、岸辺に打ち付ける波の音が荒々しく、いつものような設営後のホッとした心の安らぎが訪れてこない。
 風の強い日のキャンプは苦手である。
 それでも日の当たる場所はポカポカ陽気なので、湖に付きだした岩の上で裸になってしばらく日光浴することにする。
 真っ青な空が心を洗ってくれるようだ。
 時々波しぶきが、岩の上まで飛んでくるのが気に障るけど。

 その後は温泉街に出かけたり、仲洞爺キャンプ場前に新しくできた温泉に入って時間をつぶした。
 夕方、バーベキューを始める頃には、いくらか風も弱まってきたようである。
 最近の我が家のキャンプでの夕食と言えば、焼き肉とコンビニおにぎりというパターンがすっかり定着してしまった。
 これではちょっと味気ないので、今回はご飯ぐらいは炊くようにしようと思っていた。
 ところが、先日のソロキャンプ用に買っておいた「サトウのご飯」が残っていたので、妻は「もったいないから今回はこれを使いましょ!」とのこと。
 うーん、コンビニおにぎりがサトウのご飯に変わっただけで、相変わらず味気ないなーと思いつつ、おとなしく妻の提案に従うことにした。
 しかし、このサトウのご飯、なかなかうまいのである。
 これまで、レトルトのご飯には非常食としてのイメージしか持っていなかったが、もしかしたら自分で焚くメシよりも美味しいかも知れない。
 ますます、我が家のキャンプには手抜きメニューが横行しそうな雰囲気である。

 焼き肉とビールでおなか一杯になったころ、ちょうど洞爺湖に日が落ちる時間になった。
 真っ赤な夕焼けを期待したが、今一である。
 夕焼けよりも、対岸に小さく見える羊蹄山の姿が、夕日に照らされて不思議な色に染まっていたのが印象的だった。
 夕日タイムが終わると、そろそろ焚き火タイムの時間である。
 岩と岩の間のちょうど良いスペースに焚き火の後が残っていたので、そこを利用させてもらうことにした。
 一応、焚き火台も用意してきてはいたが、やっぱり焚き火は直火が一番だ。
 その頃には風も無くなり、ようやくいつもどおりの平和なキャンプの時間が訪れた。
 でも、いつの間にか広がった雲に、せっかくのほぼ満月に近い月が隠されてしまったのは残念だった。
 「満月が最高にきれいだったキャンプはどこになるだろう?」
 「それはやっぱりニニウキャンプ場ね。」
 「やっぱりそうだね。それじゃあ星空がきれいだったキャンプ場は?」
 夕焼けがきれいだったところは・・・、山菜が美味しかったところは・・・
 こんな調子でいつの間にか、昔のキャンプの思い出を二人で語り始めていた。
 なんだか老い先き短い老人キャンパーが、若かった頃のキャンプの思い出を懐かしんでいるみたいだ。
 テントに入る頃には波もおさまり、チャプン、チャプンといった優しい音が、ちょうど良い子守歌代わりになってくれた。
 これならば明日はカヌーを楽しめそうだぞ。

 翌朝もチャプン、チャプンの可愛らしい波の音に目を覚ました。
 明け方のこの波の音は、そのままべたなぎの湖面の様子を思い浮かばせる。
 そっとテントの入り口を開けて外を覗いてみると、昨日までの波がウソのように、鏡のように静かな湖面が広がっていた。
 曇り空ながら、所々青空ものぞいて、穏やかな1日の訪れを感じさせる。
 テント前の入り江も本来のコバルトブルーの不思議な色に染まっている。
 バシャッと大きな音をたてて、魚がライズした。
 釣り竿持ってきたら良かったなーと思ったが、9月1日からは洞爺湖も禁漁期間である。

 朝食の用意をしていると、顔に冷たいものが当たった。
 エッ、ウソだろう?と空を見上げると、細かな雨粒が落ちてきていた。
 すぐに止んだが、ちょっとしたら、またポツポツと振ってくる。これの繰り返しだ。
 そのうちにとうとう本格的な振りになってしまった。
 テントの中に逃げ込んでラジオの天気予報を聞いてみると、「今日は全道的に良い天気になるでしょう」
 何言ってやがるんだ。
 その雨も間もなくして止んだが、テントはびしょ濡れである。
 せっかく、夜露も降りないで撤収も楽だなーと喜んでいたのに、トホホな気分だ。

 まあ、そのうちに乾くだろうと気を取り直して、到着時から車の屋根に積みっぱなしだったカヌーを降ろすことにする。
 最悪の事態では、そのままカヌーを降ろさずに帰途につくところだったのだ。
 準備を終えてカヌーに乗ろうとすると何か変な臭いがしてきた。
 何だ!この臭いは!
 「もしかしてフウマじゃないの?」
 ま、まさか・・・、恐る恐る鼻を近づけてみる。
 そのとたんに襲ってきた強烈な悪臭に、胃の内容物が一気にのどまでこみ上げてきた。
 ウグッ、後少しでホントに吐いてしまうところだった。
 近くに誰もいないので、放しっぱなしにしておいたのが大失敗だった。どこかで何かに体を擦り付けてきたみたいだ。
 今時期のキャンプ場では、絶対にフウマを放しておいてはいけないのである。
 どこに何が捨てられているか、わかったものではない。
 湖の中で洗って、何とか臭いを落とすことはできたが、本当に人騒がせなやつだ。

 そんなひと騒動があった後、やっとべたなぎの湖にこぎ出すことができた。
 のんびりと二人で湖を漕ぐのは2年ぶりになる。
 今回のキャンプでは、中島までカヌーで行ってみようかなと密かに考えていたのだが、それは止めてやっぱりのんびりキャンプに徹することにしよう。
 白鳥のつがいが近くまでやってきたので、すぐ横にカヌーを並べて競争してみた。
 迷惑そうな顔をしながら、逃げもしないで隣を泳ぐ姿が可愛らしい。
 そのまま泳ぎ去った白鳥は、もう一組湖畔でテントを張っていたキャンパーのところにちゃっかりと上がり込み、食べ物をねだっていたようだ。
 何とかカヌーも楽しむことができて、キャンプ終了。
 今回は、のどかで平穏なキャンプをイメージしていたのだが、やっぱり自然相手では思い通りにはいかない。
 今月末に予定している道東キャンプはどうなるのかなー。

 帰り際に、今回のキャンプのもう一つの目的だった有珠山の西山火口に行ってみました。
 最近になって遊歩道が整備され、噴火口のすぐ近くまで近寄れるようになったのだが、泥流で潰された家、地割れの起きた道路、通路のすぐ横からは水蒸気が吹き出し、降ってきた岩で穴だらけになった地形、押しつぶされた工場、そしてもうもうと白い煙を上げ続ける噴火口、表現は良くないが、まるでどこかのテーマパークの中を歩いているような雰囲気です。
 火山の力、恐ろしさを身近で味わえる、お薦めスポットだと思います。
 ただ、その日は平日だったのに駐車場はほぼ満車、また、駐車場からはかなり歩くことになるので、お年寄りにはちょっとつらいかも知れません。


戻る   ページTOPへ