兜沼を後にして、次の一応の目的地は宗谷岬である。
宗谷岬と言っても、本当の目的は、宗谷丘陵の中を走る事である。
これまで2回ほど宗谷岬までは来ているが、両方とも海岸沿いの道路をぐるりと走っただけ、それでもこの付近の丘陵の景観は強く印象に残っていた。
昨日のオロロンラインもそうだが、ここもまた日本とは思えないような風景である。
この両者が存在するために、私にとって道北はあこがれの地となっているのだ。
宗谷岬の手前で宗谷丘陵の案内板を見つけ、内陸方面に車の向きを変えた。
すぐに道路は丘陵の中に伸びるワインディングロードとなり、走るに従って風景が次から次へと変わっていく。
その道をずーっと先まで走ってみたかったが、その段階ですでに車の燃料メーターには燃料切れの警告ランプが点灯しており、今日はここばかりに時間をかけているわけにもいかない。
適当なところで引き返し、宗谷岬に向かった。
ちょうどガソリンスタンドもあり、そこで札幌を出てからの初めての給油、おまけに貝殻のキーホルダーをもらって、ちょっとだけ得した気分である。
この辺でそろそろ今日の最終目的地を決めなければならない。
今回の道北キャンプで、ついでに寄りたいところとして、美深町の松山湿原と上川町の大雪アンガス牧場を考えていた。
それと、キャンプ場としてはクッチャロ湖キャンプ場とそこの夕日。しかしクッチャロ湖に泊まると、途中で寄り道して札幌まで帰るとなると、かなりの強行軍である。
私の場合、いくらがんばっても1日の走行距離は400km程度が限度、その途中に山道歩きでもしていたら、とても札幌までたどり着けないかもしれない。
そんなことをあれこれと考えた結果、一応の結論として、紋別のコムケキャンプ場に泊まり、帰り道は天気も良さそうなので、アンガス牧場で菜の花畑のバックにそびえる残雪の大雪山をカメラに写す、
これでいくことにした。
それでも、「で、結局今日はどこに泊まるの?」、との妻の問いに、「うーん、とりあえずクッチャロ湖に着いてから考えよう」、と相変わらずの優柔不断夫ぶりを発揮しているのである。
オホーツク海側の北の方にも原生花園が点在しているが、どうも印象としてはあまりパッとしたものがない。
それよりもオロロンラインの稚咲内付近の道ばたの方が、沢山花が咲いているような気がする。
クッチャロ湖手前のベニヤ原生花園に寄ってみたが、やっぱりあまり咲いていない、時期的のものがあるのだろうか。次回は6月下旬頃に来てみたいものだ。
そして久しぶりのクッチャロ湖キャンプ場に到着した。8年ぶりだ。ここで写した夕日の写真は、北海道キャンプ場見聞録のタイトル画像として、しばらく使われていたのである。
ここでは、翌日に何かお祭りが開かれるみたいで、その準備作業が行われていた。
「うーん、何だか騒がしそうだな」、これでクッチャロ湖キャンプ場泊の案は消えて、8年ぶりの感傷に浸るまもなくキャンプ場を後にする。
そろそろお腹が空いてくる時間だ。どこか食事する場所がないかなとキョロキョロしながら車を走らせていると、枝幸カニ祭りの看板が目に入った。
これだ!きっと祭り会場では、カニ鍋食い放題のイベントでもやっているはずだ、と勝手な思いこみでそこの会場を目指すこととした。
その会場は、予想したとおり千畳岩キャンプ場だった。4年前の夏にここに泊まったときも、お祭りの準備作業が行われていたこともあり、枝幸のお祭りならば、きっとこの場所だろうと考えたのだ。
残念ながらカニ鍋食い放題はやっていなかったが、カニ弁当と300円のカニ鍋を買って昼飯にした。
その後は一路コムケキャンプ場を目指す。
ところ次に目に入ったのがオホーツクサイクリングの看板である。今日はちょうど、このイベントが開催されている日であった。
手元のキャンプ場ガイドブックを見ると、「オホーツクサイクリングの参加者で賑わうキャンプ場」の写真が載っているのだ。
ゲゲッ、静かなキャンプを楽しみたいのに・・・。
やっと到着したコムケキャンプ場、ここに訪れるのも8年ぶりだ。
やっぱり・・・、何だかやたらに人が一杯いる。
再び感傷に浸る間もなく、キャンプ場を後にした。
オホーツクサイクリングの看板を目にしてから、もしもの場合の第2候補地としていた上湧別五鹿山キャンプ場を目指す。
ガイドブックを見るかぎりでは、何やら良さげなキャンプ場である。
上湧別町の市街を抜けてすぐにキャンプ場入り口の看板を見つけた。
看板に従って曲がろうとすると、その道路脇に芝生広場のような場所が有った。
最初は気にも留めなかったが、妻が「あら、これがオートサイトじゃないの?」
「何言ってんだ、ここがサイトの訳が・・・、あった・・・」
確かに、良くあるオートサイトの形にはなっていた。ただ、問題はその場所だ。
普通の町はずれの道路脇に、ポンとオートサイトを置いただけのような感じである。人それぞれの好みはあるが、これは我が家にとって受け入れがたいキャンプ場である。
その奥の林間部分にもフリーサイトが有ったみたいだが、そこを見ようともせずに、そのままUターンしてしまった。
さて、どうしよう。地図を見ると、もう少し走ったら丸瀬布のキャンプ場がある。
ここならば温泉もあるし、我が家のおすすめベストテンにも入っているキャンプ場だ、まあ無難な選択だろう。
最後の一頑張りで車を走らせたが、結局この日は朝のドライブまで含めると400km近い走行距離になってしまった。
ここは5年ぶり、何だか昔の足跡をたどりながらキャンプ場を巡っているような気分だ。
ここにはフリーサイトとオートサイトが有るが、受付時、フリーサイトの方に行事用テントが張られ、その周りで若者達が遊んでいる姿が目に入った。
疲れていたので、先に場内を下見する気にもなれず、ちょっと値段は高いがオートサイトの方を選ぶことにした。
まだ、7月の初めなのでそれほど混んではいないだろうと思ったが、オートサイトはほとんどが既に埋まっていた。
テントを張り終えて一息つき、あらためて周りを見渡すと、ほとんどか小さな子供連れのファミリーキャンパーである。
今年初めてのキャンプなのだろう、舞い上がって走り回る子供達に、叱りつける親達、夏のキャンプ場に良くある風景だ。
我が家も一応はファミリーキャンパーと名乗ってはいるが、そんな中にいると何だかとても居心地が良くない。そろそろファミリーキャンパーの看板を下ろす時期なのかもしれないと感じてしまった。
空が曇ってきたので、天気予報を聞いてみる。
なんと明日の天気は雨のち曇りと言うことだ。出発の時の天気予報では明日が一番良い天気になるはずだったのに。
アンガス牧場はあきらめて、まっすぐ札幌まで帰るしかないようだ。
翌朝目を覚ますと、夜中に降った雨でテントはすっかり濡れてしまっていた。
それでも雨は止んでいたので、テントに着いた水滴を拭き取り、朝食の間に少しでも乾かすことにする。
後片づけを少しでも楽にするため、フライパンを使わずに、昨夜の焼き肉のタレ入れに使ったアルミホイルの皿でベーコンを焼き、スクランブルエッグを作った。
こんなものでもフライパン代わりになることを初めて知った。以外と使える技だね、なんて妻と話しながら食後のコーヒーを飲む。
すると、もう少し待ってくれれば良いものを、その途中で雨が降り出してきてしまった。
大慌てで撤収を始めたが、せっかく拭いたテントがまたびしょ濡れである。最後に濡れたテントをゴミ袋に押し込み撤収完了。
キャンプ場を出発した時間は朝の7時、これではいつものインスタントキャンプと同じである。
他のキャンパーはほとんどがまだ寝ているみたいだった。
帰り道は来るときと同じような土砂降りの天気、札幌へ着く頃になってようやく青空も顔を出してきた。
まるで最初の1日をそのまま巻き戻したようなキャンプ最終日であった。
返ってから調べてみると、我が家の道北キャンプはこれで3回連続して雨にたたられていることが解った。
宿題も沢山残してしまったし、もう1回、リベンジする必要があるみたいだ。