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春の小川はサラサラキャンプ

ポロト湖キャンプ場(4月21日〜22日)

 厳しい寒さだった冬が終わると、いつにもまして暖かな春がやってきた。
 例年よりも雪解けも早く、我が家の庭ではスイセンやヒヤシンスの花も咲き始め、数日前には気温も25度まで上がって、いつでもキャンプシーズン幕開けOKと言った雰囲気だ。
 ところが、道内のキャンプ場のオープンはほとんどがゴールデンウィークが始まってからと言う状況なのである。
 3月の極寒朱鞠内のようなキャンプを体験してしまうと、「こんなにキャンプ日和なのに、どうしてどこのキャンプ場も開いてないんだー」と、非常に欲求不満の気持ちにさせられてしまう。
 まあ、仮に4月からオープンしたとしても、我が家のような物好きキャンパーがそう沢山いるわけでもなく、余計な経費がかかるだけの話しかも知れない。

 そこで思いついたのが、通年オープンしている白老のポロト湖キャンプ場の存在である。
 秋のポロト湖には数回行ったことがあるが、春のポロト湖は初めてだ、札幌よりも温暖な白老では一足先に春の草花が咲き始めているかも知れない。
 そんな理由から、今回のキャンプのテーマは「春を探して白老キャンプ」に決定、「うーん、なかなか良いネーミングだぞ」などと1人ニヤニヤしてキャンプ当日を心待ちにしていた。

 ところがそれまで続いていたうららかな春の陽気が前日になって急変、札幌の最高気温は6度、雪さえもちらつくような天候になってしまった。
 一時はあきらめようかとも思ったが、朱鞠内湖での最高気温マイナス5度、最低気温マイナス32度という中でのキャンプから考えると、気温が10度なんていったら天国のような条件である。
 結局、出発の決断は当日の朝まで延ばされることとなったが、その日の札幌は快晴の空模様、一番心配していた雨も避けられそうなので、予定どおり午後から出発することにした。
 冷たい北風が吹いていたが、ポロト湖のキャンプ場ならば回りを山に囲まれたくぼ地のような場所なので、なんとかなるはずである。

 ポロト湖キャンプ場はペットが禁止されている場所である。
 しかし、これまでも何回か泊まった経験もあり、今時期に他のキャンパーが居るわけでもなく、犬を連れていることは黙って入場するつもりでいた。
 ところがキャンプ場入り口に、大きく「ペット園内持ち込み禁止」と書かれた看板が立っているのである。
 さすがに、黙って入って後でトラブルになるのも嫌なので、正直に受付で「あのー、犬を連れているんですが良いですか」と申告した。
 「本当はダメなんですけど、今は人も少ないし、放し飼いと糞の始末だけは気を付けて下さいね」、という答えを期待していたのだが、予想に反して「園内にペットを入れることは禁止しているんですよねー」との冷たい返事が返ってきてしまった。
 ここまできて追い返されてしまってはたまらない、「エーッ、ダメなんですか、参ったなー」と落ち込んで見せると、受付のお姉さん(ホントはおばさんだけど)が、「犬は大きいんですか」と優しい言葉を返してくれた。
 「い、いや、こ、これくらいの小さな犬なんですよー」、そう言って両手を広げた間隔を見てみると、それは子猫くらいの幅にしか広がっていなかったのである。

 何とか無事に入場することができて、早速我が家のお決まりの場所にテントを張る。
 予想通り、風もほとんど気にならない程度である。
 いつもならば、お決まりの設営後のビールを一杯、ということになるのだが、さすがに気温も低くて汗もかかない。
 美味しいビールを飲むために、今回のキャンプのテーマである春を探しに散歩に出かけて一汗かくことにした。
 ボクの大好きな場所であるテントサイトの眼下を流れる小川は、秋とはまた違った風情で心を和ませてくれる。
 でも、密かに期待していた春の花の代表福寿草は、どこを探しても見つからない。それではということで、展望台へ通じる山道を歩いてみることにした。
 途中、フキノトウやナニワズの花が咲いているのを見つけたが、福寿草はどこにも咲いていない。木々の芽もまだ固く縮まったままで、これならば札幌の方が 春が進んでいる感じである。
 それでも、葉を全て落とした森の木の姿を楽しみ、展望台からの樽前山の雄大な眺めに感動して、テントまで戻る頃にはすっかり喉が乾いていた。
 遅ればせながらのビールで乾杯の一時である。

 その日の夕食のメニューは、パエリアとチーズフォンデュー、我が家にとっては画期的なグルメキャンプである。
 いつもいつも豚汁、カレーにバーベキューではさすがに飽きてしまう。
 そこで今回は、私が本格チーズフォンデューを作るぞと言ったら、妻はそれならば私はパエリアを作ってみるわ、ということになったのである。
 このパエリアは、これまで食べた中でも一番美味しいものだった。パエリアはアウトドア向けの料理なのかも知れない。
 もう一つ、私が力を入れていたチーズフォンデューはむちゃくちゃ不味かった。
 雰囲気的にもチーズフォンデューは、アウトドア料理って感じがしないのである。

 この日の妻の楽しみは、 こと座流星群の流れ星を見ることだった。
 お恥ずかしいのだが、自分で作ったStar Light Campingのページで、このことを紹介しておきながら、妻に言われるまでこと座流星群のことはすっかり忘れていたのである。
 残念ながら、途中から雲が広がってしまい、流れ星は見ることはできなかった。
 気温もこの時間で0度まで下がっており、もし晴れていたとしても、のんびりと流れ星観測なんて余裕は無かったかも知れない。
 その日、バンガローの方には数組のキャンパーが泊まっていたみたいだが、このうちの一組10数人の若者グループは明るいうちから大音量で音楽を流しながらの大宴会である。
 幸い、我が家のサイトからは離れていたが、それでも音楽や騒ぎ声が聞こえてくる。隣のバンガローには親子連れのファミリーが泊まっていたみたいだが、直ぐ隣であれだけ騒がれたら、かなり気の毒な状況だったはずである。
 いつも考えさせられることなのだが、ペットを禁止するキャンプ場は数多くあるが、この様な人間の迷惑キャンパーはほとんど野放し状態である。
 安易な管理体制を取ってしまうキャンプ場管理者に腹が立ってしまうが、元はといえば全てキャンパー側の責任なのだと思う。
 自分のことしか考えない迷惑キャンパー、そいつらを何とかしろとキャンプ場に文句を付けるキャンパー、とりあえず無難なところでペットを禁止にしようとする管理者、この悪循環は決して無くなることは無いだろうと考えると、気分が滅入ってしまう。
 そんな若者グループの大騒ぎは深夜まで続いてた。
 我が家が寝静まった夜中の2時頃、テントの近くまでゴミを捨てにきたグループの数人が、大きな音を立ててゴミ箱に空き缶等を放り込んだ後、「うわー、星が綺麗だなー」、「キャー、ホント、流れ星なんか見えちゃったリして」とこれまた大声で話しをしている。
 騒ぎ声にしばらく眠ることができず、おまけに真夜中にこんな話しを聞かされた妻は、かなりご立腹の様子だった。

 そんな妻の腹立ちにも気づかず、朱鞠内湖の時とは比べものにならないくらいぐっすりと眠れた私は、気持ちの良い朝を向かえた。
 テントから這い出して、温度計を見てびっくり、気温はマイナス4度まで下がっていた。途中から雲も晴れたため、一気に冷え込んだみたいである。
 それでも、全くの無風であるため、それほど寒さは気にならない。焚き火を燃やして、コーヒーを入れて、目の前を飛び回る小鳥たちの姿を眺めながら充実した一時を楽しむ。
 ポロト湖へ続く散策路を歩いてみると、ミズバショウが花を咲かせていた。
 湿地帯の中を流れる川の水はとても澄んでおり、手を入れると切れるように冷たい。
 「春を探して」よりも、このキャンプには「春の小川」という名前のほうがピッタリかな、と思ってしまう。
 久しぶりの最悪キャンパーに出会ってしまったが、そんなことも忘れさせてくるれ素晴らしいキャンプの一日だった。


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