北海道キャンプ場見聞録
暑い夏は河原でキャンプ
秘密の場所(7月15日〜16日)
本当は週末は家でのんびりするはずだった。 今時期になると、週末で空いているキャンプ場を探すのも難しいし、それに、今年も去年と同様暑い日が続いている。 今年は最近になく順調にキャンプへ行くこともできたし、後は夏のキャンプ旅行までゆっくりとしていても良いかな、そんな気分だった。 ところが前日の金曜日、そんな気分も吹き飛んでしまった。 とある理由により、その日、気温30度の炎天下の中、農家のカボチャ畑で一日中草取りをやらされるはめになってしまったのだ。 長袖の服を着て、生い茂ったカボチャ畑の中、座り込んでその葉をかき分けながら、その間の雑草を一本一本抜き取るのである。 午前中は滝のように汗が噴き出していたのが、午後になると干からびてしまい汗も出なくなってきた。 おまけにその場所の直ぐ近くには、海水浴場大浜ドリームビーチがあるのだ。 「もーたまらん、何で仕事でこんな事しなくちゃダメなんだー、こうなったら明日は冷たい川の中に飛び込んで思いっきり遊んでやるぞーー。」 魂の叫びである。 そんなわけで、急遽、キャンプへ行くことになってしまった。 急遽といっても、実は、この時期のキャンプの場所として密かに考えていた場所があったのである。 しかしそこは、数年前にちょっとだけ寄ったことのある河原で、果たしてテントを張れるような場所があったかも定かではない。 これまで、キャンプ場以外の場所でキャンプしたこともないし、その付近は時々熊が出ることもある場所だ。 でも、そんなことはどうでも良くなっていた。冷たい川の水に飛び込まないと気が済まないのだ。 といいながら、張り切って出発したものの、当日の天気予報はその日の朝になってから、曇りのち雨に変更されていた。 その日の朝に変更された天気予報は、さすがに良く当たる。途中から道路に水が溜まっているのだ。 ちょっと前まで土砂降りの雨が降っていた様子である。目的地までは雨雲を追いかけながら走っているみたいで、常に道路は濡れたままだ。 目的地について、河原へと続く細い砂利道を降りていく。RV車ならば問題ないのだろうが、我が家のオデッセイでは腹をこすりそうで冷や冷やものである。 途中の大きな水たまりも、その中に穴が隠れていないように祈りながら、そろりそろりと通過する。 両脇から道を覆い隠すように張り出すイタドリや柳の枝は、ピカピカの車の持ち主ならば、絶対に途中で引き返したくなるはずだ。 やっとの思いで河原までたどり着くと、急に視界が広がって、ちょっと心配だった草にも覆われておらず、まさにキャンプ用にできあがった河原みたいである。 喜び勇んで車から降りてみてビックリ、そこに生えていた名も知らぬ花では20匹くらいの熊ん蜂が、せっせと蜜集めに励んでいるところだった。 おまけに、待ってましたとばかりに、大きなアブが車にたかってきた。 あわてて車の中に逃げ帰り、虫除けスプレーを手に、意を決して再び車外に出たが、幸いなことにここのアブはそれほどしつこくはなかった。 虫除けスプレーの効果にホッとして、次はテントの設営場所を探しにかかった。 若干ゴツゴツしてはいるが、マットを敷けば何とか寝られそうだ。 それに今回はコットを持ってきているので、多少のデコボコは大丈夫である。ただし、それも一つだけ、当然それは妻に譲ることになる。 幸い雨は降っていなかったが、怪しい空模様なのでタープも張ることにする。 河原なのでペグはほとんど利かないが、大きな石はゴロゴロしているので、何とかそれを利用してしっかりとタープを張ることができた。 曇り空だが、結構蒸し暑く、設営が終わるとTシャツの上に汗がにじみ出してきた。 それでも目の前に気持ちの良さそうな川が流れているので、そんな汗も少しも気にならない。 いつものビールタイムもさっさと済ませて、水中メガネを付けて川に飛び込む。 いかにもそのままさっそうと川の中を泳ぎ回るようだが、実際は泳ぎに自信がないので、カヌー用のライフジャケットを付けて水の上に浮かんでいるだけだったりするのが、ちょっと格好悪い。 それでも本当に爽快な気分だ。 曇り空なのはちょっと残念だが、それでも水から上がっても少しも寒くない。 裸になって泳ぐことのできない妻のことを考えると、これくらいがちょうど良いのかも知れない。 川の中にイスを置いて、のんびりと本を読んでいるだけでも幸せな気持ちになれるのだ。 夜は焼き肉、そして河原での焚き火、これで川の中でスイカでも冷やしておけば、理想的な河原キャンプのできあがりだ。 久しぶりに童心に返ってキャンプが楽しめたような気がする。 その日の夜は川の音を子守歌にぐっすりと眠れるはずだったが、かなり蒸し暑く意外と安眠できなかった。 真夏のキャンプでも、こんな寝苦しい夜を体験したことは無かったが、それでも、朝目を覚まして外を見ると、爽やかな川の流れがすぐそこに見え、最高の気分である。 帰り道、トイレを借りるのに近くのキャンプ場に寄ってみたが、そこにはリヤカー満載のキャンプ道具を、汗を流しながら運んでいるファミリーの姿があった。 一度、こんなに気持ちの良いキャンプを体験してしまうと、わざわざキャンプ場に泊まるのがばかばかしく思えてくるのは、ちょっと困ったことなのだ。 |
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