北海道キャンプ場見聞録
洞爺湖安全宣言キャンプ
グリーンステイ洞爺湖(6月17日〜18日)
最近の5週間で、今回は4回目のキャンプだ。 息子が大きくなってからは、キャンプは最低でも1週間おきという足かせをはめられていたが、彼が一緒に付いて来なくなってからは、自由に好きなだけキャンプへ行くことができるようになった。 なんだか、嬉しいような寂しいような複雑な気持ちである。 ただ、おかげでキャンプで過ごす時間が、本当に自由気ままな時間になったことだけは確かである。 でも、いくら自由だと言っても、最近の妻の場合は、仕事の関係の報告書をキャンプ場で書くようになってきたのはちょっと困ったものだ。キャンプの時くらい仕事のことなど忘れてしまえば良いのに、と思ってしまう。 それでも、夜遅くまで食堂テーブルの上で報告書を書くよりは、爽やかな空気の中でビールを飲みながら書いている方が良いのかもしれない。 キャンプでは、自分の好きなように時間を使えばいいのだ。 今回のキャンプは、有珠山噴火の影響でオープンが遅れていたグリーンステイ洞爺湖が目的地である。 噴火してしばらくは、今年中に洞爺湖でキャンプができるなんて思いもしなかったが、幸いなことに最近になって噴火も少しずつ治まる傾向にあり、ようやくグリーンステイ洞爺湖もオープンすることができたのだ。 と言っても、すぐ近くではまだ数千人の人達が避難生活を余儀なくされている状況の中、そんなところでキャンプ何かして良いのか、と考える人も沢山いるはずである。 でも、地元の人達の願いは、早く噴火が治まり、元のように沢山の観光客などに来てもらいたい、ということだと思う。 キャンプ場に到着したときに場内の清掃をしていたおばちゃん達や施設の補修をしていたおじちゃん達も、少なからず噴火の影響を受けているはずだ。 そんな人達に対して僕らがお手伝いできることと言えば、変に敬遠したり遠慮したりせずに、何時も通りに有珠山・洞爺湖地区へ遊びに出かける事ではないだろうか。 それによって、この地区はもう安全なのだというPRに、いくらでも役に立てるのではという気がする。 などと偉そうなことを書いたが、本当は、オープン初日で、おまけにオープンしていることもあまり知られていないので、これならば利用者も少なく、ゆったりとしたキャンプが楽しめそうだ、といった全くの自分勝手な考えしかなかったのである。 この思惑はズバリと当たり、無風快晴の絶好の行楽日和の中、広い場内には他に5組のキャンパーしかいなかった。 キャンプ場には午後1時過ぎに到着したが、オープン最初の一番乗りである。 どこでも好きな場所にテントを張ることができたが、この日は気温も上がり30度近くになっている。 少しでも日陰になるところを探した結果、一番湖よりの大きな樹木の近くにテントを張ることにした。 しかしその場所は、すぐ隣に湖畔を一周する道路が通っているのである。 それでも、洞爺湖温泉地区が通行止めのため、通行量も少なくほとんど気にならない。 今回のキャンプでは、久しぶりにコットを持参することにした。 これは昔、L.L.Beanの海外通販で手に入れたものだが、やたらかさばるので、最近はほとんど持ち歩かなくなってしまっていた。 それでも、今回は豪華なオートキャンプ場に泊まれるということで、いつもの貧乏スタイルキャンプではなく、ちょっとだけ贅沢気分を味わって見ようというわけである。 これがなかなか快適だった。ビールを飲みながら、木陰においたコットの上にゴロリと横になると、真っ青な青空に、柔らかな木漏れ日、本当に贅沢な気分に浸れる。 ところが、時々隣の道路を、回転灯を点灯させた関係者の車がこちらを見ながら通り過ぎていくのだ。 そんな人達の前で、赤い顔をして寝っ転がっているのは、やっぱり少し気が引けるのである。 夕方になっても無風快晴、絶好のバーベキュー日より、暮れゆく空を眺めながら満ち足りた気分を味わう。 そのうちに、突然風が強くなり、頭上の小枝を大きく揺らした。 まるでトトロの猫バスがやってきたみたいだ。そういえば、サイトの横を通る道も、映画に出てきた道に雰囲気が似ている。 その風もすぐに治まり、今度は美しい満月が上ってきた。 この日は、キャンプ場を管理している人が場内の照明のブレーカーでも入れ忘れたのか、炊事場の明かりがつく以外、トイレも照明灯もくらいままだ。 これは大ラッキーである。 早速ランタンの明かりを消してみると、場内は月明かりに照らされ、素晴らしい眺めだ。 本当の満月の日にキャンプに行けるなんてことは、滅多にないことだ。それにその日が素晴らしい気象条件に恵まれるなんてなおさらである。 一度、ニニウキャンプ場で素晴らしい月明かりの夜を体験したが、それ以来2度目の満月お月見キャンプである。 翌朝目を覚ますと、前日には全く気が付かなかった噴火の音がはっきりと聞こえてきた。 これには本当に大感激である。 地球の鼓動を直に聞くができるなんて、滅多にあることではない。 そんなところで落ちついてキャンプなんかしていられない、という人もいるかもしれないが、ボクにとっては本当に素晴らしいことだった。 湖畔に出てみると、思っていたよりも近くに噴煙が上がっていることに気が付く。 新しい噴煙が吹き出す度に、ドーン、ボボボボボッ、といった何とも言えない音が響いてくる。 テレビの映像で見る限りでは、ただの水蒸気が上がっている程度にしか感じないが、現地で間近に見てみると、確かに噴火の凄さを感じることができる。 地元の人にとっては、噴火が治まってきた状態でもこれほどなのだから、もっと酷かったときは、本当に大変だったのだろうと改めて感じさせられた。 この様に、最高の条件の中、素晴らしい体験ができた、久しぶりに大満足の洞爺湖キャンプであった。 おまけ1 それにしても、オートキャンプ場ってどうしてこんなに値段が高いんだ。 ただ、車を近くに泊められるというだけで、1泊4000円だなんて信じられない。 6月1日にオープンした洞爺湖のサンパレスだって、1ヶ月間は1泊2食付きで4850円で泊まれるというのに。 おまけ2 オープン最初の客ということで、北海道新聞の取材を受けてしまった。 写真も撮らせて下さいということだったが、我が家の貧乏キャンプではあまり良い絵にならないな、と思っていたら、やっぱり翌日の新聞には、家族連れの豪華なバーベキューの写真が使われていた。 おまけ3 キャンプ場のすぐ後ろの山には、あの有名なバブルの遺産、エイペックスの醜い姿がそびえ立っているのが見える。 美しい洞爺湖の景色の中に、どうしてあれほど醜い建築物を造ってしまったのか、その愚かさに本当に腹が立ってしまう。 |
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