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道央周遊放浪キャンプ

吉野公園キャンプ場

厚田公園キャンプ場

川下海浜公園(6月10日〜11日)

 本来ならば今回のキャンプは軽い気分の1泊キャンプ、午後から出かけて飯食ってテントで寝て朝飯食べて帰ってくるごくごく普通のキャンプで、この日記にも大して書くような内容の無い軽いキャンプのはずだった・・・。

 目的地は新十津川の吉野公園キャンプ場、ここは昔、キャンプ場ガイドブックを隅から隅まで調べて面白そうなキャンプ場を探しては出かけていた頃、なかなか良さそうだなと目に付けていた場所である。
 ただ、駐車場から急な長い階段を上らなければサイトにたどり着くことができず、当時のキャンプグッズフル装備の我が家にとっては、とても泊まれないようなところだった。
 ところが最近、ニフティのキャンプ関係のフォーラムで、ここには裏から入る道があって、そこを利用すれば簡単にサイトに近づけることを教えてもらい、早速今回のキャンプの目的地としたのだ。

 ちょうど今時期は、滝川の菜の花畑が見頃であるとの情報も得て、キャンプ場へ行く前に滝川周辺のドライブも楽しむことにした。
 午前中の曇り空も昼頃には晴れ間が広がり、青空の下、素晴らしい菜の花畑の写真を撮りながら、ルンルン気分で吉野公園キャンプ場へ向かった。
 教えてもらった裏道も簡単に見つかり、ちょうどサイトの一番上の部分がちょっとした駐車スペースになっている。
 そこで車から降りるとやかましいくらいのセミ時雨である。そんなセミの声にせかされるようにテントサイト探しに取りかかった。
 しかし、今一しっくりこない。徳富川を見下ろせるサイトは、その間を通る道路が丸見えで、しかも荷物運びも高低差があるのでちょっとしんどそうだ。
 駐車スペースのすぐ横のサイトは樹木に囲まれ落ちついた雰囲気だが、ちょっと閉鎖的な気もする。
 まあここで良いかと、設営に取りかかろうとするが、妻の表情が今一さえない。どうも、あまり気に入ってないような雰囲気だ。確かに虫も多く、今時期にしては蚊もやたら沢山飛んでいる。
 そこで、道路地図を見てみると、今回もう一つの候補に考えていた厚田公園キャンプ場まで、あと1時間車を走らせればたどり着ける距離である。
 妻にそのことを話してみると、にっこり笑ってすぐに賛成した。
 今回ははっきりとした目的があるキャンプでは無いので、泊まる場所はどこでも良いのだ。すぐに次の目的地に向けて出発した。

 途中で寄り道したので、厚田公園キャンプ場へ付いたのは午後の4時半頃、それでも小ぎれいでなかなか良さそうなキャンプ場である。
 ところが駐車場入り口の張り紙を見て、急に気分が悪くなった。でっかな手書きの文字で「犬禁止」と書いてあるのである。
 とりあえず受付で「すいません、犬連れているんですが」と聞いてみたところ、待ってましたとばかりに「犬は絶対だめです。あなた一人を許したら他の人にも・・・」
 延々とその話を続けそうな感じだったので、途中で「じゃあ結構です」とくるりと背を向け車に戻ってきた。
 別に犬が禁止ならばしょうがないが、「一人を許したら・・・うんぬん」のお役所独特の説明がどうも気に入らない。
 これまでボクが泊まったキャンプ場は、犬禁止のところでもだいたいが「今日は人が少ないから良いですけど、放し飼いにしないで糞の始末はしっかりして下さいね。」といった感じで泊めてもらっていた。
 禁止のところに無理矢理泊まるつもりは無いが、一律の管理しかできない役所と、その原因を作ったであろうマナー知らずのペット連れキャンパーに、なんとしても腹が立つのである。

 とりあえず、これで途方に暮れてしまった。
 4時間近く、220km走ってたどり着いたキャンプ場でこんな事になるとは、あと30分走れば自分の家に戻ってしまうのである。
 それでもこのまま帰る気にもなれず、そこから一番近い道民の森の一番川キャンプ場に電話をかけてみることにした。
 オートサイトは当然の事ながら満員のはずなので、すぐ隣のフリーサイトである自然体験キャンプ場の方をお願いしてみた。泊まれますよとの返事だったのでとりあえずお願いしたが、ちょっと気になったので「今はどれくらいの人が入っているのですか」と聞いてみた。
 すると現在はテント25張りとのこと、「げっ、それじゃあほとんど超満員じゃないか」。
 「や、やっぱりやめます」、思わず断ってしまった。
 いくら泊まる場所に困っていても、そんな混雑したキャンプ場に泊まる気にはなれないのだ。

 いよいよ万策尽きてしまった感じだが、それでも家に帰る気にはなれない。
 途中走ってきた日本海の快晴、無風の最高のロケーションが目に焼き付いているせいだ。
 日本海に沈む夕日を眺めながら久しぶりの海キャンがしてみたい、今回のキャンプの目的はここにきてがらりと変わってしまったのだ。
 妻も同じ気持ちみたいで、「どこかで野宿でもしようか」なんて言いだしはじめた。 そうは言ってもトイレだけは無ければ、妻がかわいそうである。
 最後の望みを浜益村の川下海水浴場にかけてみることにした。
 ここは海水浴場にしては珍しく芝生のキャンプ場なのである。ただ、海水浴場だけあって開設期間は7・8月だけ、トイレが空いていなければ万事休すである。
 ここがだめならば、どこかで夕日でも眺めてから家に帰ることにしよう、と最後の決断をして、元来た道を30kmばかり引き返すことにした。

 川下海水浴場に着いてみると、綺麗な芝生の中に3張りほどのテントが張られている。これはと思いトイレを覗いてみると、普通通りに使えるみたいだ。
 普段は見向きもしないようなキャンプ場が、このときばかりは天国のようなキャンプ場に見えたのである。
 フカフカの芝生に美しい日本海の夕暮れ、すぐ近くの道路をけたたましくエンジンを空ぶかししながら通り過ぎるバイクの音も、海キャンだと思えば大して気にもならない。
 寝場所を見つけたキャンパーは優しい気持ちに慣れるのだ。

 翌朝は、厚田のキャンプ場へ泊まった場合に予定していた、港で開かれる朝市へ行くことにした。
 朝4時に起きて、6時にはキャンプ場出発。朝市は、すでに多くの買い物客でにぎわっていた。
 お目当てのぴんぴん跳ねる大型シャコは売っていなくて、シャコは全て冷凍もの、もう少し時間が遅ければ、生きたものが入ってくるという話もあったが・・・。
 とりあえずマメイカとクロガレイを買い込んだ。もう一つ、厚田で有名な豆腐屋さんの豆腐を20分行列して購入する。
 何だか、いつものキャンプとは全然違った行動で、たまにはこんなのも面白い。
 そうして家に帰ったのは朝の8時半、日曜日はこれから始まりである。何だか1日得した気分。

 悲惨なようで楽しい、思い出に残るキャンプであった。


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