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オホーツク流氷キャンプ

能取岬キャンプ適地(2月26日〜27日)

 今年こそ流氷を見に行こう、まずは普通にそんな考えが頭に浮かんだ。
 そして数日後、宿泊先等を考えているうちに、「うん?別にホテルに泊まる必要は無いんだ!去年の朱鞠内湖でのキャンプはマイナス23度、それに比べたらオホーツク沿岸ならば厳冬期でも20度以下に下がることは無いはずだ!楽勝、楽勝。」と、悪のささやきが聞こえてきたのだ。
 それにしてもこの考えは普通ではない。冗談のつもりで、何気ない顔をしてかみさんに提案してみたところ、「ふーん、どこかキャンプするのに良い場所あるかしら。」
 何の驚きも見せずに平然とそう答える妻を見て、こちらの方が驚かされてしまった。
 「この人って普通じゃない・・・」

 そんなわけで、本気で流氷キャンプの計画を立てなくてはならなくなってしまった。
 まずはキャンプサイト選びであるが、網走方面のアウトドア関係の情報を公開している「北海道アウトドアエキスプレス」さんの掲示板で質問してみた。
 車を近くに停められて、他人の好奇の目にさらされず、出来れば静かな林の中、そのようなかなり贅沢な希望だったのだが、すぐに数カ所の候補地を教えてもらうことができた。
 インターネットは本当に便利なものである。
 あらためて、この場を借りてお礼させていただきます。

 寝る場所さえ決まれば、後は全く問題なし、行き当たりばったりで現地に行ってから見たい場所を決めれば良い、これが旅行会社のツアーでいく時との大きな違いだ。
 出発の前日、札幌は久しぶりの大雪に見舞われたが、網走までの道のりは道路も凍結している場所もほとんどなく、比較的楽に走ることができた。
 まず最初に、網走の天都山の展望台に上がって、オホーツク海を埋め尽くす流氷を眺めてみた。
 それなりに感動はするのだが、やっぱり流氷は間近で目にして、その上に乗らなくては始まらない。
 すぐにそこを後にして、はやる気持ちを抑えて海沿いの道路をめざした。
 JRのきたはま駅は、オホーツク海に一番近い駅、というような看板が立っていたが、その通りで駅のすぐ裏に流氷原が広がっている。
 そこでついにあこがれの流氷の上に立つことができた。

 観光客の中には、流氷を目の前にして、「どこに流氷があるの?」なんて聞く人もいるそうだが、正直言ってボクも、本当に流氷を見て感激なんかするのだろうか、ただの雪原が広がっている程度の印象しか受けないのでは、そんな気持ちを持っていた。
 ところが、目の前の海を埋め尽くす流氷は、確かにボクを感動させてくれた。
 こんなに広い海を氷で埋め尽くす自然の大きな力、流氷の上に立ってその力強さを肌で感じることができるのだ。
 でも、その感動を何時までも味わっているわけにもいかない、暗くなる前に寝場所を確保しなくては。

 教えてもらったいくつかの場所のうち、第一候補が能取岬の冬季間通行止めのゲート付近、もしもここがだめならばまた他の場所を探さなくてはならない。
 しかしそんな心配も現地について吹き飛んだ、どんぴしゃりで我が家が求めていたキャンプ適地だったのである。
 早速、今シーズンから我が家に登場した新アイテム、スノーシューを履いてテント設営場所を踏み固める作業に取りかかった。
 ここで、一つの問題が発生、スノーシューでいくら踏み固めても、それを脱ぐとズブズブと底なし沼のように埋まってしまうのだ。
 気温が低すぎて雪が全く固まらないのである。
 何とかテントは設営できたが、スノーシューを脱ぐことができないので、とても行動しづらい。

 その夜の気温はマイナス13度、テントの中でランタンをつけたり、ストーブを焚いていると、テント内はプラスの3度くらいまで温度が上がり、寒さはそれほど感じない。
 それに今回のキャンプ用に購入した秘密兵器、シュラフカバーとインナーシュラフがあるのだ。
 シュラフカバーはゴアテックスで1万円、これはボク用、インナーシュラフは4千円で妻用、妻はこの差に少し不満があるみたいだったが、妻のシュラフは3シーズン用のモコモコの封筒型、これに合うシュラフカバーなんて無いのだ。
 ところが、防寒の点で言うと、インナーシュラフの方に軍配が上がるみたいだ。
 ゴアテックスのシュラフカバーは、確かに霜などでシュラフを濡らすことは無いが、それほど暖かくはない。
 夜中に目が覚めてひしひしとそう感じた。

 翌朝は少し曇っていたせいか、気温もマイナス12度である。
 能取岬から流氷原に上る朝日を見に行って、次は朝食の準備だ。
 厳冬期用のガスカートリッジを持っていったのだが、この寒さでは火力が全然強くならない。
 そこで妻が考え出した裏技は、シュラフの中に入れていた携帯カイロをカートリッジの回りに張り付けるというものである。
 ボクは鼻で笑ったのだが、結構これは役に立つみたいだ。すぐに炎が力強い音を立てだした。

 帰りにもう一度流氷の上に乗りたいと言うことで、サロマ湖の竜宮台まで行くことにした。
 ここの流氷は、きたはま付近よりも荒々しく、これこそ流氷!っていう感じである。
 風もないのに、流氷が不気味な音を立てている。
 最初はどこかでトドでも鳴いているのかと思ってしまった。
 流氷の軋む音を子守歌に眠る、ここも流氷キャンプには良い場所かもしれない。

 ここで、神秘的な薄青色に染まった重さ15kgの流氷を、家で一人留守番をしている息子のために持って帰ることにした。
 こんなもの持って帰っても、冷ややかな顔で、何考えてんのってバカにされるだけだろうなー。(^^;


お土産の流氷
ただの氷の固まりだ!


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