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至福の朝、赤平キャンプ

赤平エルム森林公園キャンプ場(10月21日〜22日)

 札幌に初雪が降ったのは数日前、それでもまだ札幌付近の紅葉は始まったばかりだ。
 札幌近郊の紅葉は今週末が見頃とテレビのニュースでは伝えられているが、我が家から見える手稲山の紅葉を見ていると、そんなニュースも今一信用できない。
 紅葉キャンプを楽しむならば、もう少し北へ向かわなければダメだ、そう考えて今回の目的地は赤平のエルム森林公園キャンプ場に決定した。
 天気予報は週末またまた雨マークが出ている。道南や太平洋側では晴れマークだが、北へ行くほど天気が悪くなるみたいだ。
 それでも、天気予報なんか気にしていたら、今年はもうキャンプへ行けないかも知れない、出発間際までインターネットのアメダス画面を見ながら、何とか晴れ間が出てきたみたいなので、予定どおり出発することにした。

 高速道路を北に向かいながら周辺の山の様子を見ていたが、やっぱり紅葉はまだ遅れ気味の様子である。
 というよりも、これまで気温が高く、雨模様の日が続いた影響で、今年の紅葉はパッとしないのかも知れない。くすんだ緑色の残る山肌を眺めながらそう思った。
 それでも滝川付近まで来ると、ようやく秋らしい風景が広がってきた。
 天気も良くて、これならば快適な紅葉キャンプが楽しめそうだぞと、その時はまだワクワクした気分だった。
 紅葉に覆われた細い砂利道を走りながら、ますます高揚した気分になってくる。
 紅葉に高揚、なんちゃって・・・。(サブッ)

 キャンプ場へ到着するなり車を飛び出して管理棟の受付へ。あれっ?入り口に鍵がかかっている。
 そ、そんな、と思いつつ、慌ててキャンプ場ガイドブックを取り出した。
 エルム森林公園キャンプ場は10月末クローズ予定となっている。確かに10月21日は末と言えば末に入るのかも知れないが・・・。
 去年の最後の厚真大沼でのキャンプと同じような状況である。
 それでも今回はたっぷりと水を用意してきていたので、別にクローズしていても慌てた気持ちにはならなかった。
 幸い、場内への入り口への鎖はまだ開いており、トイレもまだ閉鎖されていなかった。ホッとして、お目当ての奥の方のサイトへ車を進める。
 そこには紅葉に囲まれた素晴らしい景色が・・・。

 あれれ、なんだこりゃ?
 場内にそびえる巨木達は、葉を全て落としてしまい、丸裸の状態である。
 当然のことながら場内には人っ子一人もいなく、冷たい北風にあおられ枯れ葉がカサカサと音を立てながら飛ばされていく。
 何だか、心の中にも冷たい風が吹き込んでくる感じだ。
 気を取り直して設営場所を探すが、葉が全て落ちてしまっているため、どこに行ってももろに北風にさらされてしまう。
 それでも、太陽の光が射しているのが救いである。
 風を遮るようにテントを張って、何とか一息つくことができた。どんなにひどい状況でも、テントをたてると、とりあえずは安心できるのである。
 こんな時でも、設営後はやっぱりビールである。さすがにあまり美味しくない。

 北風さえ吹いていなければ、落ち葉に覆われた場内はとても良い雰囲気である。
 晩秋のこんな森の様子が大好きだ。
 愛犬フウマも、落ち葉をまきあげながら場内を思いっきり走り回り、気持ちよさそうだ。
 しばらくして、管理人らしき人がやってきた。
 注意されるかと思ったが、気にしないで泊まっていっていいよ、との優しい言葉、それでも車の隣に乗っていた奥さんらしき人は、あきれた顔をして私たちを見ていた。

 場内には枯れ枝がいくらでも落ちているので、すぐに焚き火をはじめる。
 隣の芝生に覆われたサイトと違って、我が家がテントを張った場所は直火でも問題なさそうだったが、ここは我慢して焚き火台を使うことにする。
 次第に風も弱まり、星空も広がって、まずは快適な夜だ。
 それでも気温が3度まで下がり、それで風に吹かれると、さすがに寒さが身にしみる。
 この日はオリオン座流星群が見られるはずだが、焚き火から離れて空を見上げる気にはならなかった。

 夜中にパラパラとテントを叩く雨の音に目を覚ましたが、すぐに止んだみたいだ。ホッとしてまた眠りにつく。
 明け方、キツツキのドラミングの音で目を覚ました。
 テントから出てみると快晴の空が広がっていた。
 テントは夜中の雨で濡れている。何気なくその水滴を触ってみてビックリ、水滴と思ったのは氷の粒だったのである。
 温度計を見てみるとちょうど0度、風が全くないので、昨日の夜よりも暖かく感じられるくらいだ。
 場内の展望台に登り、朝日が上がってくる様子を楽しむ。
 木々の葉が全て落ちてしまっているので、場内くまなく朝日に照らされ、晩秋の森の気持ちの良い朝だ。

 落ち葉を踏みしめながら場内を散歩していると、美味しそうなムラサキシメジを見つけた。
 他にもいくつか食べられそうなきのこを見つけたが、持参したきのこ図鑑で調べてみても今一正体がはっきりしない。
 とりあえずムラサキシメジは間違いようがないので、昨夜のきのこ汁の残りに入れて食べることにした。
 本当はナメコやエノキダケが見つかるのを期待して、今回はきのこ汁のメニューにしていたのだが、とりあえずはムラサキシメジでも満足である。

 きのこを土産に散歩から帰ってくると、今度は焚き火に火を付け、朝のコーヒータイムだ。
 凛と冷えた空気に、焚き火の温もり、コーヒーから立ち上る湯気が優しい光の朝日に照らされている。
 そんな中、昨夜は姿を見せなかった小鳥たちが、澄んだ歌声を聞かせてくれた。
 きのこ汁の残りにウドンを入れて、朝のメニューにする。先ほど採ったムラサキシメジが美味である。
 キャンプの中で、この朝の時間が大好きだが、今回のキャンプはまさに最高の至福の一時だった。
 来週を今シーズンの最後のキャンプにするつもりだったが、これならば今回がラストキャンプになったとしても、全く不満はないのである。


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