いつもいつも湖ばかりではさすがにカヌーも飽きてきてしまった。 しかし、我が家は家族単位での行動なので、川下りも釧路川のようにJRを利用できるようなところに限られてしまう。
そこで、1996年の夏、実家のある十勝の清水町に帰省したとき、爺ちゃんに途中まで迎えに来てもらうことにして、十勝川の川下りに挑戦してみることにしてみた。
ガイドブックによると、ニコニコマークがついていて、ファミリー向けなんて書いてあるものだから大したこと無いと思っていたのだが、いざ下ってみると釧路川のようにはいかなかった。
先頭には息子が座り、中央には愛妻がでんとかまえて、愛犬はカヌーの中をあっちへこっちへと動き回り、そんな状態の中で結構な急な流れの中をカヌーを操るのは厳しいものがある。
スタート地点は新清橋、河原まで車を乗り入れられるのでスタートにはちょうどいい場所だ。ただそのあたりは浅瀬が多く、ライニング・ダウンが必要になる。
その後、発電所からの放水で急に水量が増え、流れも速くなる。釧路川とは全然違うその流れに少々焦りを感じてしまうが、カヌーの操作には特段の支障はない。途中の祥栄橋の上で爺ちゃんが見ていたので、手を振ろうと思ったが、橋の手前で流れがカーブしておりそんな余裕はない。すると突然、カヌーが流芯からはずれ、あれあれと思う間に後ろ向きになってしまった。エディといわれる部分に入ってしまったのである。そのような川の知識が無かったので、こんなことでもビックリさせられてしまう。
その後橋の下を通り過ぎたところが流れが集中して大きな波が立っている。そこを避けるような技術も無いので、そのまま流れに乗って突入していった。水しぶきを浴びてアッという間に通り過ぎてしまったが、これが瀬と言われるものの初体験である。
やれやれと思いながらカヌーを漕いでいると、突然前方から激しい水の流れの音が聞こえてきた。ガイドブックに出ていた「テトラの瀬」と呼ばれるやつだ。あわてて左岸に寄せようとしたが流れが速くどんどん近づいていく。半ばカヌーから飛び降りるような感じで、かろうじて直前で上陸できたが危機一髪という感じである。
どこがファミリー向けなんだーと文句が出てしまうが、川下りを甘く見ていた自分が悪いのである。ただ、その後は危ない場面もなく予定の清水大橋まで快適なツーリングを楽しむことができた。
ちょっとだけ自信のついた2回目の川下りであった。
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