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吉野川(2017/04/13)

お遍路の記憶が蘇る


 

お遍路の時に川島潜水橋の上から見た吉野川の清流

今回の四国の旅のきっかけとなったのが吉野川だった。
お遍路の途中で吉野川を渡ったとき、その水の美しさに感動して「次回は車にカヌーを積んで四国に来よう」と心に決めたのだ。

四国を離れる前日になってようやく天気が回復し、その吉野川を下れることになった。
四万十川を下った後に体調を崩し、3日間くらいまともに食事も取れなくなっていたけれど、天気の回復とともに体調も回復したようだ。

宿泊地の四国三郎の郷オートキャンプ場を後にして、穴吹橋の川原にカヌーを下ろし、車を上陸地点の川島潜水橋に移動する。
そこからJRの阿波川島駅まで歩き、電車で穴吹駅まで移動する。


移動は電車で

この川下り区間は、高松でゲストハウスそらうみを経営する野瀬さんから教えてもらったものである。
駅から川まで近くて、下る距離もちょうど良かった。
それに、上陸地点の川島潜水橋は、お遍路の時に渡った橋でもあるのだ。

ただ、車での移動時間を読み間違えていて、予定していた電車には乗れず、1本後の特急電車に乗る羽目になってしまった。
それでも、車窓の景色を眺めながらの電車での移動はとても楽しい。
電車やバスを利用した四国の旅もやってみたくなる。

穴吹駅からカヌーを置いてある川原までは、穴吹橋を渡って1.5キロ程歩かなければならない。
川原は駅とは反対側になり、おまけに河川敷が広いので、500mの橋を渡りきった後にその半分の距離を戻ることになるのだ。


穴吹橋を渡る

穴吹橋から下流を眺める

 
そしてようやく吉野川にカヌーを浮かべることができた。
既に午前10時半近くになっていた。
これが四国で下る3本目の川である。


川の近くに山が見えるのは最初の方だけ

水の透明度は期待したほどではなかった。
ここ数日の雨の影響なのか、それとも季節的なものなのだろうか。
去年の秋にお遍路で渡ったときは、本当にきれいな水だったのだ。


岩盤が現れる

この日は風が強かった。
川面全体が波立っているのは、水の流れのためではなく風が起こしている波のようだ。
それでも、西寄りの風なので、東に向かって流れる吉野川ではほとんどが追い風となるのが救いだった。

左岸側に岩盤が見えてきた。
その先に架かる片引きの斜長橋である岩津橋に向かって、吉野川は両岸から張り出す岩盤によって川幅が狭まっている。
この辺りは昔の吉野川を利用した水運の要所でも合あったらしい。

岩津橋を過ぎた先に瀬が現れた。
障害物も無く気持ち良く下れる瀬である。
川の流れを感じられるのが嬉しい。
その他の区間では、風で水面が波立ってはいるものの、川の流れを実感できないのだ。
もしも今日の風が向かい風だったとしたら、躊躇い無く川下りを中止していただろう。
それくらいの強風なのである。


瀬があると嬉しくなる

方持ち斜張橋の岩津橋

 


風景は単調だ

追い風だから楽に下れそうなものだが、意外とそうでもないのだ。
かみさんはフォワードストロークで普通に漕いでいるだけだが、スターンの私はカヌーが真っ直ぐに前を向くように常に力を込めてパドリングしなければならないのである。

仁淀川と四万十川を下った時は、山間部の流れで周りの風景も楽しめたが、吉野川のこの辺りは平野部を流れている。
特に目を惹くような風景もなく、単調な川下りが続く。

瀬詰大橋を過ぎた先の川原に上陸し、昼食にする。
周りを見ると替わった模様の石ころが沢山目に付いた。
川下りの記念品としては、やっぱりその川で拾った石ころが一番である。


川原で休憩

 


この中から10個だけお土産として持ち帰ることに

四万十川でも石ころを拾ったけれど、きりが無いので持ち帰るのは一人3個まで決めていた。
ところがここでは変わった石が多いので、3個には絞りきれない。

そこで、まずは気に入った石を適当に拾い集め、その中から10個だけを持ち帰ることとして、その石は二人の合議で決めることにしたのである。

青いトラス橋の阿波麻植大橋を過ぎると、その先に沈下橋が見えてきた。
私はそれがゴールの川島潜水橋だと思い込んでいたが、周りの風景がちょっと違う気がした。

良く見ると、ちょっとどころか全然違う。
今回下る区間に他の沈下橋があるとは知らなかったので、勘違いしていたのだ。


ゴールと間違えた香美の沈下橋

 
しかし、目的の川島潜水橋まではもう遠くはない。
最後のパドリングを楽しんでいると、瀬に入る手前の川底が傾斜しているところで、不思議な感覚に囚われた。
川面が波立ち始める前、川底の石がはっきりと見えるほどに水が澄み、まるでカヌーが空中に浮いているかのように、そのまま瀬の中へスーッと吸い込まれていくのだ。
かみさんも同じ感覚を味わったようで、最後に吉野川から素敵なプレゼントをもらった気分だった。


カヌーが滑るように流れていく

 
前方にお城が見えてきた。
昭和56年に復元された、阿波九城の一つ川島城の天守閣である。
その城の姿が次第に大きくなってくると、橋のゴールである川島橋が見えてきた。


川島城の天守閣見えてきた

橋の上を歩くお遍路さん

 
橋の上をお遍路さんが歩いている。
去年の私達のお遍路の記憶が鮮やかに蘇ってきた。

こうして、四国を代表する三つの川を下る今回の旅の目的は見事に達成できたのである。


これで今回の旅の目標を達成できた

 


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