北海道キャンプ場見聞録
四万十川(2017/04/09)
増水の四万十川で高速ダウンリバー
前日に下見をした四万十川(長尾沈下橋)
今回の四国の旅で一番の目的は四万十川の川旅だった。
しかし、仁淀川を下った後は雨が3日間も続き、とても川旅をできる天気ではなかった。
週間予報ではずーっと雨マークが続いていたのが、日曜日だけ晴れの予報に変わったので、川旅は諦めワンデーツーリングに変更する。
土曜日は雨の中、川の下見をしながら江川崎の四万十・川の駅カヌー館バンガローにチェックイン。
これまでの雨で四万十川は通常水位より1mほど増水しているらしい。
私たちが四国入りするまで四万十川は渇水状態だったらしいが、これが良い傾向なのか悪い傾向なのかは良く分からない。
前日に下見をした四万十川江川崎上流部
私たちだけ単独で下るとなると、瀬の多い上流部はちょっと心配なので、江川崎から下流を下ることにした。
下る区間はここから口屋内までのおよそ15キロ。
車の回送は、四万十川沿いに走っている路線バスを利用。
1日に3本しか走っていない路線バスをどうやって利用しようか考えている時に、このバスが日曜祝日は運休であることを初めて知ったのである。
その瞬間、頭の中がクラクラとなってしまった。
江川崎に有ったタクシー会社も今は営業していなくて、車の回送手段が無ければ川下りは無理である。
四万十川を下るのを諦めかけたところ、FB友達のA阪さんから「口屋内の民宿せんばに泊まって、翌朝のバスで車を取りに帰る」との方法を教えてもらった。
前泊したカヌー館バンガロー
再び希望が湧いてきて、早速民宿せんばに予約の電話を入れる。
ところがシーズンオフとも言える今の季節なのに、その民宿は満室だったのである。
ほとほと四万十川に見放された気分だった。
これで私は完全に諦めたのに、A阪さんはまだ諦めていなかった。
「もっと下流の「かわらっこキャンプ場」まで下って、そこからバスで戻ることもできます」
江川崎からだと20キロ以上下流になるので、そのキャンプ場のことは全く考えていなかった。
確かに、キャンプ場の前にバス停もあるので、こんなに便利な上陸場所は無かった。
元々は、川原キャンプを考えていたので、そのキャンプが施設の整ったオートキャンプ場に変わるだけの話である。
月曜日は朝から雨が降るかもしれないが、四万十川を下れるのならば、そんなことは全く気にならない。
いよいよ四万十川に漕ぎ出す
こうしてA阪さんのアドバイスのおかげで、晴れて四万十川を下ることができたのである。
スタートは前年4月にオープンしたばかりの「道の駅よって西土佐」前の川原。
船を下ろすためのスロープがあり、直ぐ近くに車を停められて、出艇にはおあつらえ向きの場所だ。
昨日よりも川の水量は少し減っていたが、ここの直ぐ上流で合流してくる支流の広見川の濁りが酷く、そのせいで四万十川の水も濁ってしまっていた。
それでも、素晴らしい青空が広がり絶好の川下り日和である。
もしもこんな日に、四万十川を下れなかったとしたら体調を崩して寝込んでいたかもしれない。
(実際は、下れたにもかかわらず、体調を崩してしまったのだが)
スタートして直ぐの橋を過ぎると、流れが右岸に集まり、そこに波の高い瀬ができていた。
そこの様子は橋の上から確認していたので、波の高い部分に入り込まないように、その横を漕ぎ下る。
波の高い場所には近づかない
右岸寄りに波の高い流れがある
そこから先でも所々に大きな波の立っている場所があったが、増水して川幅も広がっているので、そんな場所は余裕をもって避けることができる。
逆に水が少ない時の方が、座礁しないように瀬の中を下るしかなくなるのだ。
この辺りでも結構な流れがある
増水して流れも速い。
前回の仁淀川とは大きな違いである。
水が少ない時はここも瀞場が多く、川旅の計画を立てている時は四万十市中村までの40キロを1泊2日で下れるかどうか悩んでいたものだ。
カヌー館の人の話では、この水量ならば口屋内まで3時間もかからないだろうとのことだった。
風が時折、強く吹き付けてくる。
この辺りでは、四万十川は大きく蛇行しながら北から南に向かって流れている。
風は北風なので、基本的に向かい風になることはない。
それでも、これだけ大きな川だと、川の真ん中で強い横風を受けると、あまり良い気分ではない。
赤いトラスが特徴の津大橋が見えてきた。
橋の前後は満開の桜に彩られ、何とも美しい風景が広がる。
津大橋付近の風景
前方に岩間沈下橋が見えてきた。
橋の下を通り過ぎ、右岸の川原に上陸する。
ここの川原はキャンプ場にもなっている。
川原の中からシャワーのホースのようなものが伸び出していた。
これがまさかキャンプ場の施設と言うわけではないだろうが、本当に水が出るのかどうか謎だった。
沈下橋周辺の集落は桜や菜の花に彩られ、美しい山里の風景である。
岩間沈下橋
川原の中からシャワーのホースらしきものが
沈下橋をバックに記念撮影
川原で休憩
茅大橋の斜長橋が見えてきた。
山に囲まれた風景の中に、この斜長橋はあまり似合わない気がする。
こんな場所の橋はやっぱりトラス橋に限るのだ。
道路が見えなくなったところで、川原に上陸し休憩する。
この辺りの区間はほどんどで道路が隣接しているので、安心できる代わりに車の音が耳障りでもある。
ちょうどそこは風当たりも弱く、静かな四万十川の風景をゆっくりと楽しめた。
川岸の崖では淡い紫のツツジが花を咲かせている。
赤い花も混じっているなと思ったら、それは上から落ちてきた椿の花だった。
口屋内の沈下橋まで下ってきた。
口屋内の沈下橋が見えてきた
老朽化により通行止めになっている口屋内沈下橋
ここまで2時間半もかかっていない。
もしも口屋内の民宿に泊まることにしていたら、早く着きすぎて時間を持て余していたかもしれない。
ここの川原もキャンプ場として使えるみたいだが、快適にテントを張れそうな場所は見当たらなかった。
口屋内の沈下橋は現在通行止めになっているので、川原のある右岸に上陸した場合、そこからバスに乗るのには下流側の口屋内大橋まで遠回りしなければならない。
沈下橋の直ぐ下流で、右側から黒尊川が合流してくる。
黒尊川の水は濁っていないので、合流部だけ四万十川の透明度が上がっていた。
途中の川原で昼食
去年、紀伊半島の北山川や古座川を下った時も、雨で増水して水が少し濁り気味だった。
今日の四万十川も、同じような状態である。
流れが速くて助かった部分もあるけれど、できれば四万十川本来の清流を下ってみたかった。
口屋内大橋を過ぎた先の川原で昼食にする。
今日は車を運転することも無いので、ここでビールを開ける。
本当は下りながらでもビールを飲みたかったのだが、さすがに今日の水量ではそこまでの余裕は無かった。
広々とした川原では、所々に樹木が生えていてその枝が新緑に染まっていた。
年に何度かは完全に水没するような場所なのに、そこで健気に生き抜いている姿には感心してしまう。
休憩した川原は中州になっていて、再び合流して山の間を流れていく四万十川
川幅は思いっきり広がり、山の中を縫いながら滔々と流れていく。
これだけの大河が山の中を流れていること自体、北海道ではありえないことだ。
四国の自然の奥深さを感じさせられる。
勝間沈下橋の上では観光客らしき人たちが佇んでいた。
四万十川の風景には沈下橋が本当に良く似合う。
勝間沈下橋
前方から屋形船が川を遡ってきた。
そろそろ今日のゴールも近いみたいだ。
屋形船には満員に近いお客さんが乗っていて、私たちに向かって手を振ってくれた。
そうして4時間半でかわらっこ前の川原に到着。
楽しみにしていた川旅はできなかったけれど、四国までやってきた主目的を達成できた満足感は大きかった。