北海道キャンプ場見聞録
仁淀川(2017/04/05)
桜咲く四国の川で
仁淀川が目の前を流れる宮の前公園キャンプ場に前泊
今回の四国の旅の主な目的は四国の三つの川を下ること。
4月4日に四国入りして早速下るのが仁淀川だ。
お遍路で四国を回っていたN島さんと、越知町の宮の前公園キャンプ場で合流。
本当は、仁淀川の川原の小浜キャンプ場で合流したのだが、風が強かったのでそこから少し下流の宮の前公園まで移動してきたのである。
N島さんは前日からこの公園に泊まっていて、地元のパドラーからここの少し下流に瀬があるとの情報を仕入れていた。
下る区間は、ここから黒瀬キャンプ場までのおよそ15キロ。
途中で見てきた川の様子は、ほとんど流れが無く、そこを15キロ下るのは厳しいかもしれない。
もう少し下流からスタートしようと思ったが、N島さんがここの下流にある瀬を下りたそうなので、予定通りキャンプ場の前から出艇することにした。
カヌーの底を擦る街の中の荒瀬
車の回送を済ませ、午前8時10分にキャンプ場前から漕ぎ出す。
漕ぎ出して直ぐに瀬が現れた。
岩がゴツゴツと出ていて、その岩に張り付くように潅木も生えている。
水深が浅いので、カヌーの底をゴリゴリと擦りながらその瀬を下った。
これがN島さんの聞いていた瀬なのかもしれない。
全然、楽しくなかった。
N島さんも少し気落ちした様子でその瀬で遊ぼうとしたが、バランスを崩してひっくり返ってしまった。
その先の橋の下も河床ブロックが露出し、そこに大きな岩も絡んで嫌らしそうな雰囲気だ。
でも、流れが緩いので、余裕をもって障害物をかわすことができた。
橋の下流も岩が多い
N島さんが何もない場所で沈するのは何時ものこと
その先は穏やかな流れが続いていた。
いや、流れではなく瀞場と言ったほうが正しいだろう。
どちらが上流か下流なのかも分からない。
スタート地点を下げた方が良かったかもしれないと後悔してくる。
穏やかな流れが続く仁淀川、岸辺では菜の花が咲いていた
それでも、初めて下る川は景色を眺めているだけで楽しい。
川原ではあちこちで葉の花が咲いていた。
崖崩れの跡も
県道にかかる橋の下を通過する。
仁淀川のラフトツアーはここからスタートするらしい。
しかし、こんな川でラフトに乗って何が楽しいのだろうと思ってしまう。
仁淀川は県道のトンネル前後で大きく蛇行している。
トンネルを抜ければ700m程の距離が、川を下ると5キロ以上にもなるのだ。
それ以外の区間では県道は仁淀川に平行して走っているので、川の様子は大体分かっていたが、この蛇行区間だけは見ていなかった。
崖から巨大な岩が川の中に崩れ落ちた風景に目を引かれる。
山間を縫いながら仁淀川が流れる
小さな落ち込み
N島さんが何もないザラ瀬で粗沈。
これで早くも2沈である。
さすが、どんな川でも身体全体で楽しもうとするN島さんなのである。
両岸から岩場が張り出し、川幅が急に狭まっている場所があった。
その中央が小さな落ち込みになっている。
特に問題のない落ち込みだが、増水すれば結構楽しそうな場所になりそうだ。
遠くに白波が立っているのが見えた。
遠くからでも確認できるので、かなり大きな波かもしれない。
発電所の放水口?水は止まってしまった
発電所の放水口があるみたいだ。
ところが、近づいてみると、波はほとんど立っていなかった。
その下流の岩の濡れている様子を見ると、水位が5センチほど下がっていた。
もう少し放水を続けていてくれれば、もっと楽しく下れたのにとがっかりしてしまう。
しかしその先では、水が減っていてくれて良かったと思わせるような瀬が待ち受けていたのである。
大きな岩場をはさんで流れが二つに分かれていた。
右の分流の方が遠くまで見通せて、安全に下れるように見える。
最初はそちらに向かって進んでいったが、前を下るN島さんが途中から気が変わったように左に進路を変えた。
この先で瀬が待ち構えていた
これは当然な選択だろう。
はるばると仁淀川までやってきて、わざわざチキンルートを下ることはない。
ただ、左の分流は岩に阻まれてその先の様子が分からない。
N島さんはそのまま下っていったが、私達は手前で上陸して様子を見ることにした。
そこは結構激しい瀬になっていたが、N島さんが下る様子を見た限りでは問題は無さそうだ。
私達も続いて下ったが、岩を上手く避けさえすれば、特に難しい流れではなかった。
それよりも、チキンルートに見えた右岸の分流の方が、斜めの落ち込みが有ったりして結構嫌らしそうだった。
こんな瀬があるとは知らなかった
ここの瀬で水舟になってしまう
前方に浅尾沈下橋が見えてきた。
これが、四国の川で初めて通過する沈下橋だ。
流れも緩く、その風景を楽しみながらゆっくりとくぐり抜ける。
その先で川幅が狭まりその中央に大きな波が立っていた。
その波のど真ん中を目指して下っていく。
波の中を漕ぎ抜ける瞬間、カヌーの中に一気に水が流れ込み、あっと言う間に水舟になってしまった。
水抜きのために上陸し、そのまま小休止。
この蛇行区間、川の上からの眺めは良いし、それなりに楽しめる瀬もあり、ラフトツアーでも十分に楽しめそうなところだった。
休憩した川原
浅尾沈下橋と下流の瀬
仁淀ブルーとまでは言えない川の色だ
ここまでかかった時間は2時間半。
距離的にはやっと半分くらいだろうか。
N島さんはこの後、今治まで行く予定なので、あまりのんびりともしていられない。
蛇行区間が終わった後は瀬もなくなり、ひたすら瀞場が続いている。
そこを黙々と漕ぎ下る。
今年の四国の桜の開花は記録的に遅くなっていて、仁淀川沿いの桜もようやく咲き始めたばかりだ。
それでも、昨日は5分咲き程度だったのが、今日は8分から満開に近くなっていた。
川の上からそんな桜を眺めつつ下るのも、なかなか乙なものである。
周辺では桜も満開に
片岡沈下橋を通り過ぎる。
仁淀川では仁淀ブルーとの言葉を良く聞く。
ただ、この中流域では本当の仁淀ブルーは見られない。
仁淀ブルーを楽しむためには、もっと上流の渓谷まで行かなければならないのだ。
片岡沈下橋付近の風景
黒瀬キャンプ場手前の川原に上陸
それでも、この中流域でも水の濁りは少なく、清流仁淀川の雰囲気だけは楽しめる。
今日のゴールにしていたのは黒瀬キャンプ場のやや上流。
県道からの入り口には黒瀬釣場の小さな看板が立っていた。
川原も広く、ゴール地点にするにはちょうど良い場所だった。
ちょうど昼の12時にその川原に到着。
距離が長かった割には4時間もかからず下ることができた。
瀞場のように見えたけれども、少しは流れがあったのかもしれない。
N島さんの車に我が家のカヌーも積み込み、宮の前公園まで戻る。
N島さんとはここでお別れし、それぞれがまた四国の旅を続けるのである。